NARS JAPAN
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本誌で好評連載中の、美容ジャーナリスト・齋藤 薫さんから悩める40歳へおくる、美と人生への処方箋。今回は、「嫉妬の感情」について。〝ゆとり世代〟以降はあまり嫉妬心を持たない 韓流ドラマが絶対的に面白いのは、そのストーリーに必ず強烈な嫉妬があるからだ。いわゆる財閥モノが目立つのも、紛れもなく渦巻く嫉妬を描くため。日本のテレビドラマも、80年代90年代までは分かりやすい嫉妬女が出てきたが、現在は嫉妬が見事に排除されている。でもその分1クールに一本くらい「半沢直樹」的な男社会の壮大な嫉妬モノが入ってきて、男の嫉妬の方がタチが悪いということをほのめかす。じゃあなぜ女性が見るドラマからは、嫉妬が激減したか? する方にもされる方にも何も生まないどころか、心をすり減らすだけ。もっとも損な最悪の感情だと皆が薄々わかってきたのだろう。そして何より〝ゆとり世代〟以降はあまり嫉妬心を持たないから、共感性が得られなくなったものと思われる。 嫉妬は普遍的に人間のサガ。とは言え、人と比較をしない社会は嫉妬を生まない。人と比較されずに育った〝ゆとり世代〟の多くは体験的に嫉妬を知らないのだ。もちろん今後呼び起こされる可能性は充分あるが、アラフォーにとってすぐ下の世代。これからいよいよ嫉妬のない時代に突入しつつあるなら、嫉妬の感情は自分の中でも早く退化させてしまいたい。 そこで何より人と比較しないこと。どんなに比較しても、それは一過性。数年後の自分は全く別のところにいる。だから今そばにいる人との比較に意味は無いのだ。気をつけたいのは才能への嫉妬。学校の成績やスポーツの結果には文句をつけようがないが、どちらが有能か、点数や勝敗による優劣がつけられない要素は、果てしない比較に人を追い込み、自分が上でも相手が上でも苦しめられる。どちらがキレイかも同様だが、才能の比較は身を滅ぼすのだ。嫉妬されたら身をかわす、あるいは逃げる。(左)フレッシュな肌が持続。ナチュラルラディアント ロングウェア クッションファンデーション 6882¥6,300(セット価格)/NARS JAPAN (中)軽やかなつけ心地と美しいグラデーションがかなう、ブラウン系のアイパレット。イプノ パレット 04¥6,800/ランコム (右)セミマットな質感の新感覚リップグロス。ペタルエッセンスカラーバター(右から)02・03・04各¥2,500/トーン 逆に自分の才能に嫉妬してくる人がいたら、必ず身をかわすこと。自分はあなたの敵ではないことをわざとらしいくらい言動で示し、それでも自分を嫉妬の矛先にしてくるなら、もう逃げる。逃げまくって関わらない。結局そういう稚拙な方法しかないのだ。そこまでしても、嫉妬はかわすべき。でないと両方が不幸になる。 平然と嫉妬されるがままにいるのはやはり空気が読めない鈍感な人。自分も相手も苦しめないため、嫉妬をかわす配慮は大人の知性の最たるもの。しないのも、されないのも大人の女の嗜たしなみなのだ。 で、一番体に悪いから一番避けたいのはやはり同僚への嫉妬だろう。常に同じエリアにいる人への嫉妬は、朝から晩までその人のことが頭を離れないほどに心身を蝕んでくるから、絶対避けたい。人に嫉妬しないさせない、ほのぼのした人間関係が始まっている時代に、わざわざバブルの忘れ物みたいな嫉妬を日常の中に持ち込まないこと。これも美容の1つである。嫉妬してもされてもストレスが溜まり、居直りコルチゾールが心身に悪い影響をもたらすのを避けられないし、免疫力も低下、良いことは1つもないわけで、どうにも嫉妬深い人は知性と理性で何とか本能を乗り越えてほしいのだ。 素材からオーガニック中心、見た目にも感触でも人の心を癒すようなホッとできるメイクアップ、to/oneから、たとえ色が強くても優しい表情に仕上げてくれるリップカラー、ペタル エッセンス カラー バターが誕生。目元はランコム イプノ パレットのブラウン系、同系色を重ねていくうちに生まれる優しいニュアンスがいつの間にか心を整えて、穏やかな女を作ってくれる。美しくても、女性に敵対心を持たせない美しさ。ナーズのクッションファンデの仕上がりもそう。いつ会っても明るく生き生きしていて、好感度100%の肌がずっと続く。危険な匂いは放たない。そこはゆとり世代に見習わなければ。齋藤薫 Kaoru Saito美容ジャーナリスト、エッセイスト。美容やファッションの潮流に社会的な視点を加え、美しくありたいと願うアラフォーの未来を照らす。『キレイはむしろ増えていく。大人の女よ! もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)など著書多数【Marisol 2019年12月号】撮影/John Chan スタイリスト/郡山雅代12月10日
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本誌で好評連載中の、美容ジャーナリスト・齋藤 薫さんから悩める40歳へおくる、美と人生への処方箋。今回は、「女性が憧れる白肌」について。昔に比べて明度と透明度が飛躍的に高まっている日本女性の肌 今、日本にやってくる外国人モデルは、北欧にウクライナ、ロシアなど、北の方の人たちばかり。かつては、外国人モデルと言えばアメリカにブラジル、フランスからやってくるのが常識だったが、今やほとんど見かけない。その分布図がすっかり様変わりしてしまっている。ひとえに、北欧系の人たちが持つ透明白肌への憧れがそこに反映されているのだろう。 もちろん、北欧系モデルは肌だけでなく、顔立ちそのものも端正で比較的こぢんまりしているのが特徴。日本人好みの顔立ちといってもいいが、圧巻はやはりその抜けるように白い肌。女の肌は風土が作ると言うけれど、まさしく日照時間が少なく気温が低く、しかし湿度が高めの気候が透明感と白さを作るのだろう。 実は日本女性の肌も、昔に比べて明度と透明度が飛躍的に高まっているという。言うまでもなくUVケアの徹底、保湿や美白の徹底が、功を奏しているのだろうが、日本人にとって白肌は永遠の願望。さらなる白さ、さらなる透明感を求めて、北欧女性の肌を目指しているとも言える。そのくらい日本女性の白肌への憧れは揺るがないものなのだ。 ところが、日本の美容界には以前から妙なルールがあり、ファンデを買いに行って、自分の肌より明るい色を選ぼうとすると販売スタッフに強硬に阻止されたりする。お客様の肌色はこちらでございますと、もっと暗い色を勧めてくる。これ自分の肌より暗いんじゃないかと思うくらいに思い切って暗い色を。まるで白肌を作ろうとすることが罪であるかのように扱われることが少なくないのだ。化粧品テクノロジーの進化が、「白塗り」にならない白肌を作る(左)一滴で"白く輝く肌"を生み出す、魔法のような下地。ブラン ドゥ シャネル N¥6,000/シャネル (右・上)細かいパールによるツヤ感で、肌に自然な明るさと立体感を。マットラディアンス ベイクドパウダー 01¥4,800/ローラ メルシエ ジャパン (右・下)全19色という圧倒的な色数の中から、目指す白肌トーンを見つけて。ナチュラルラディアント ロングウェアファンデーション 6599¥6,100/NARS JAPAN 実際これは、化粧品販売の教育で、肌色にぴったりのファンデを選ぶことこそが正解と、徹底された時代があったからだが、確かに当時のファンデは、肌より白い色を選ぶと基本的に白塗りとなり、いわゆるお面のような仕上がりとなるケースが多かった。それを避けるためのルールだったわけだけど、それでも白肌を叶えたい人たちは、こっそり白肌ファンデを購入したりした。もちろん今時は、何色を塗ろうと、お客の勝手。ところが多くの知識がBAさんから伝えられた時代は、肌色をめぐってのトラブルが少なくなかったのだ。 でも今、事情ははっきり変わった。白肌作りは今や一大トレンド。下地であれファンデであれ、積極的に白い肌を作っていく製品が増えている。しかも、決して白塗りにならず、極めて自然に肌を白く見せるベースが目立ってきている。ひとえに化粧品テクノロジーの進化によるものだけど、これによって日本女性の行いが少し変わるような気がしてならない。 まず今まで尻込みしていた赤い口紅が塗れる。いや赤だけでなくいろんな色に挑戦できる。憧れのベージュも、もう疲れて見えない。そもそも、化粧直しを必要とするのは、肌色がくすんだ時。だから白肌の実現で化粧直しの数が減り、自ずと自分の肌が好きになる。知らず知らず自分に自信が持てたりするのかもしれない。とても些細なことだけれど、そういう小さなことも毎日積み重なれば、生き方だって変わるはずなのだ。 だからこそ堂々と白肌を作って出かけたい。シャネルの白肌メイクアップベースを使い、ナーズのファンデに見つけた白肌タイプで肌を作り、ローラ メルシエのハイライトパウダーでさらなる白肌へと仕上げたい。大昔、本当に抜けるように白い肌の女性と電車の中で乗り合わせたことがあるが、その人の肌がいまだに忘れられなかったりするほど、透き通る白肌は大変なインパクトを持っている。白肌願望は間違っていないんだ。今こそせっせと見事な白肌を作りましょう!齋藤薫 Kaoru Saito美容ジャーナリスト、エッセイスト。美容やファッションの潮流に社会的な視点を加え、美しくありたいと願うアラフォーの未来を照らす。『キレイはむしろ増えていく。大人の女よ! もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)など著書多数【Marisol 2019年7月号掲載】撮影/John Chan スタイリスト/郡山雅代8月16日