銀行預金しかしたことがないアラフォーが積立投資で成功するための心得って?【アラフォーのためのマネーのお話 #2】

Marisol ONLINE
版権:ITTIGallery/Shutterstock.com
版権:ITTIGallery/Shutterstock.com
前回、初心者の心得として「分散投資」「毎月定額」が大事、ということをお話ししましたね。

今回は、初めての投資へ一歩踏み出す場合の具体例をお伝えしたいと思います。

「分散投資」とはひとつに集中せずに、投資先を複数持つこと。投資先の種類としては、株、国債(国内・国外)、社債などがあります。自分で考えて複数の投資先を選びたい、という方は別として、知識に自信がない初心者の皆さんの場合は、「投資信託」というプロが組み合わせを作ってくれたものから選ぶ、という方法がスムーズでオススメです。

投資信託を始めるとしたら、知っておきたいのが2018年1月から日本でスタートした「つみたてNISA(ニーサ)」という制度。これは積立投資の優遇制度なので、検討せずに始めるのはもったいないですね。つみたてNISAについて、少しご説明しましょう。

つみたてNISAとは・・・

・積立投資専用の非課税制度

・投資対象は、投資信託(金融庁が厳選した商品のみが対象)

・投資期間は最長20年間(2018年~2037年)

・投資できる額 年間40万円まで

■つみたてNISAをすすめる理由

つみたてNISAの優遇ポイントは大きく2つあります。

<1>税金がかからない

例えば、毎月3万円の積立を20年間続けた場合、トータルの投資額は720万円になります。これを年3%複利で運用できると投資額は約982万円に増えます。通常はこの増加額(262万円)に対して約20%(53万円程度)の税金がかかります。つみたてNISAを利用すればこの税金がかかりません。

<2>投資する商品は金融庁のお墨付き

投資を始める時に悩むのは、何を買えばいいのか?ということ。「初心者には投資信託がいい」といわれてもどれがいいのかわからない、という人も多いはず。実は、日本の投資信託は6,000本以上あるんです。その中から自分で商品を選ぶのはムズカシイですよね。その点つみたてNISAは、対象商品が162商品に絞られています(2018年10月31日時点)。これらは、金融庁の基準をクリアした商品です。これも投資初心者にとっては安心ですよね。(※金融庁の条件をクリアしているからといって、必ず利益が出ることを保証しているということではありません)

■どんな商品を選べばいい?

では、その162本の中からどうやって商品を選べばいいのでしょうか?もちろん、選ぶ商品によってリスク、リターンは変わってきます。違いは、その商品が何に投資しているのかということ。

主な投資先は国内外の「株」「債権」です。中には「不動産」に投資しているものもあります。基本的には「株」の比率が高いほど高い利益が期待できますが、その反面リスクも高い。「債権」の比率が高いほど利益は低くなりがちですが、リスクも低いといえます。

資産を大きく増やしたいなら「株」の比率の高い商品、安定的に運用したいなら「債権」の比率の高い商品。どちらとも選べない場合はそれらがバランスよく入っている商品を選ぶとよいでしょう。

■つみたてNISAの始めかた

つみたてNISAは、専用の口座を開設することから始めます。口座は、1人1口座しか持てません。取り扱っているのは、銀行か証券会社です。一度開設すると1年間は金融機関を変更できません。手数料等は、つみたてNISAの投資信託であれば基本的にはどこの金融機関でも変わりません。金融機関ごとに違うのは、取り扱い商品の数です。

取り扱い商品が多いのは、ネット証券です。ネット証券ではおおむね140~150本程度の商品を取り扱っています。銀行やネット以外の証券は扱い商品は少なく、多いところでも10本程度の取り扱いとなっています。

銀行や対面式の証券会社のメリットは、商品の説明を受けることができる点です。ただし、ネット証券でもIFAとよばれるアドバイザーを活用することで、銀行やネット以外の証券会社と同様に商品の説明や商品の選び方などを教えてもらうことができます。費用は特段かかりません。IFAの制度を利用して、取扱商品の多いネット証券で多くの選択肢の中から商品を選ぶというのもおすすめの方法です。

■積立投資で成功するための心得

<1>とにかく始めて、とにかく続ける

<2>値動きのある商品にもチャレンジしてみよう!

つみたてNISAに限らず、積立投資全般にいえることですが、とにかく相場は気にしないこと。投資を始める時、「今みたいに高い相場の時に始めてもいいものだろうか?」そんな不安をお持ちの方も多いと思います。でも、そんなことを考えていては何も始められません。

積立投資は、金融知識がなくても始められる投資方法です。一回にまとまった資金を投入する投資方法では、相場の高い時に買うのは得策とはいえません。でも、いつが高くていつが安いかなんて、相場のことは誰にもわからない。積立投資のコツは、とにかく始めて、とにかく続けること。今は相場が高いから始められない、なんて考える必要はないのです。

積立投資は、時間をかけて投資商品の保有数を増やしていくことを目的とした投資方法です。長期間運用している間には、値が上がる時もあれば下がる時もあります。せっかく積み立てている資金が減ってしまった・・・・・・そんな時不安になる気持ちはわかりますが、そこで慌てて売ってしまっては、儲かるどころか損をするだけ。逆に、値段が下がっている時は「保有数を増やしているんだ、安く買えてラッキ-」と思って、ど~んと構えていましょう。やがてくる値上がり局面では、増えた保有数の分、多くの利益が見込めるのですから。実は長期の積立投資は、値動きの幅が大きい商品のほうが利益が出やすいのです。(下図表参照)

■毎月10万円を4カ月で40万円積み立てた場合

値動きの激しいBのほうが、最終価格がAより低くても利益が出ている

単位の表記をわかりやすくするため、1口1万円等としています
こういった性格を理解していれば、基本的にはほったらかしでよいのです。積立投資は、忙しいアラフォー女性にぴったりの投資方法なのです。
▶︎次回は12月12日(水)更新予定
  • 板倉 京(いたくら みやこ)
  • 株式会社WTパートナーズ http://wt-partners.jp/
    代表取締役 税理士 IFA

    成城大学卒業。保険会社・コンサルティング会社、税理士法人等で個人の資産や相続の業務に携わる。資産運用コンサルティングを行う(株)WTパートナーズ代表。NHK『あさイチ』などのテレビ出演や全国での講演、書籍の執筆などの活動も多数。
※本稿は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資の実行を推奨するものではありません。実際に投資を行う際には、対象商品その他のリスク等について十分にご検討の上、ご自身の判断と責任において行ってください。
関連記事
  • アラフォーの関心事「マネー」について、初心者にわかりやすく女性税理士が解説!連載最終回の今回は、アンケート調査で関心度が高かった「株式投資」についてお話しします。版権:robert_s/Shutterstock.com「株式投資」から得られる利益は3つあります。 【1】配当金 株式投資にはリスクがつきものですが、配当金を目的とする投資方法は、中長期的に安定した収入を得ることが可能なストレスの少ない投資方法といえます。 配当金とは、企業の利益の一部を株主に分配するもの。配当の額は、企業ごと、年度ごとに異なります。配当金を目的に株式投資を行う場合は、その企業が配当を出しているのかどうか、どのくらいの配当を出しているのかを確認する必要があります。 ちなみに、日経平均株価の平均利回り予想は、2.26%(2019年1月15日時点)です。メガバンクの定期預金の利息が0.01%ということを考えると、かなりの高利回りです。でも、せっかく配当目的で投資を行うのであれば、平均よりも高い高配当の銘柄を購入したいところです。 高利回りの企業を探す方法としては、日経新聞などに予想配当利回りランキングが掲載されています。そのほか証券会社やヤフーファイナンスのサイトなどでも配当金の利回りを検索できますので、参考にしてみてください。 ただし、配当利回りを見る時に、一点気をつけていただきたいことがあります。業績悪化で株価が値下がりした会社は、配当利回りが高くなることがある、ということです。少しムズカシイお話になりますが、配当利回りは、「1株当たりの配当金÷現在の株価」で計算します。たとえば、株価が1,000円から500円に下がった企業があるとします。1株当たりの配当金が10円だった場合、株価が1,000円の時には配当利回りは1%ですが、株価が500円に下落した場合は2%になります。 高い配当利回りにばかり目を奪われたばかりに、業績の悪化している企業の株を買ってしまったというのでは、悲しすぎます。配当利回りをチェックする時には、業績のチェックも一緒にしていただきたいと思います。 配当を出す時期は、通常年に1~2回。企業の本決算と中間決算の時です。日本の企業は、3月31日決算という会社が多いので、その場合は本決算3月31日・中間決算9月30日ということになります。配当をもらえるのは、この決算日の3営業日前(土日を除く)に株を保有している人です。今年の3月31日が本決算の企業の場合は、31日が日曜日なので、3月26日に株を持っている人(この日に買った人でも大丈夫)に配当が払われることになります。ちなみに、翌日27日に株を売却したとしても、配当は受け取れます。 【2】株主優待 株主優待とは、配当金と別に、企業から株主へ現金ではなく自社製品や割引券などをプレゼントすることです。企業によっては、自社製品やサービス以外に商品券を株主優待としてくれるところもあります。配当金と合わせて考えると、かなり高い利回りを実現できる銘柄もありますので、株主優待も上手に利用したいところです。 株主優待は利回りが10%以上というような銘柄もありますが、配当金と異なり、高配当にこだわらず、好きな企業の株を持ちつつ、お気に入りの商品やサービスを受けるということもできます。株主優待の利回りや優待内容もネットで検索することができます。 株主優待を受けられるのは、基本的に決算日の3営業日前(土日を除く)に株を保有している人です。配当金と同様、今年の3月31日が本決算の企業の場合は、31日が日曜日なので、3月26日に株を持っている人が対象となります。ただし、配当と違い企業によっては「1年以上株を保有している人」「300株以上保有している人」というように、保有期間などの条件がつけられている場合がありますので、気をつけてください。 また、株主優待が人気の企業などでは、権利確定日(株主優待が受けられる日)に向けて株価が高くなることもあります。株主優待を目的にする場合は、時期に余裕を持った購入がおすすめです。 【3】値上がり利益(キャピタルゲイン) 株式投資で大きな利益を得ることができるのが、値上がり利益「キャピタルゲイン」です。リーマンショックが起きた2008年の12月の日経平均の終値は8,859円。それから10年たった2018年12月の日経平均の終値は20,014円。10年間で株価は約2.26倍になっています。こういった数字を見ると、「やはり株式投資にチャレンジしてみたい!」と思う人もいるでしょう。 しかし、株式投資にはリスクがつきものです。かといって、リスクを怖がっていては何も始まらないというのも、また事実。そこで、株式投資で大失敗しないための心得を最後にご紹介したいと思います。 【株式投資で大失敗しないための心得】 1. まずは少ない金額からスタートする 2. 株の値動きをチェックする 3. 今後のシナリオを考えておく 株式投資にリスクがあるとはいえ、投資した資金以上に損をするということはありません。まずは「この金額の範囲なら万が一損をしてもよい」と思える範囲から始めてみましょう。おすすめなのは、まずは「10万円」からのスタート。ここから始めて、株の値動きをチェックする習慣をつけていきましょう。 株の値動きは、持っている株式だけではなく、できれば日経平均株価もチェックしてみてください。市場のトレンドがわかるようになると、投資自体も面白くなってきますし、今後の投資判断にも役立ちます。 また、今後の投資シナリオを考えておくこともおすすめです。初心者の方におすすめなのは、配当や株主優待を受けながら、中長期的に相場の勉強をしつつ株を保有するという方法です。 短期で利益を出そうと売買を繰り返すと、そのたびに売買手数料や税金が発生してしまいます。とはいえ、売買する場合に備えて、いくらの利益が出たら売るのか、どこまで損が出たら売るのか(リスクを許容できるのか)ということをある程度考えておくことも必要です。 ここまで全6回おつき合いいただき、ありがとうございます。「資産運用してみたいけど、何も知識がないとコワくて始められない」。そういう方は多いのではないでしょうか。実際私がそうでした。でも、それでは最初の一歩はいつまでも踏み出せません。まずは、始めてみることでわかることや知るべきことが見えてくるのです。この連載をきっかけに、資産運用の最初の一歩を踏み出していただけるとうれしいです。 板倉 京(いたくら みやこ) 株式会社WTパートナーズ http://wt-partners.jp/代表取締役 税理士 IFA成城大学卒業。保険会社・コンサルティング会社、税理士法人等で個人の資産や相続の業務に携わる。資産運用コンサルティングを行う(株)WTパートナーズ代表。NHK『あさイチ』などのテレビ出演や全国での講演、書籍の執筆などの活動も多数。著書に『相続はつらいよ「モメるケース」から考える相続対策』(知恵の森文庫)、『夫に読ませたくない相続の教科書』(文春新書)がある。 ※本稿は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資の実行を推奨するものではありません。実際に投資を行う際には、対象商品その他のリスク等について十分にご検討の上、ご自身の判断と責任において行ってください。
  • パートナーとお金の話はしにくい空気がある!? アラフォー夫婦(カップル)のお金事情に迫ります 版権: Tom Wang/Shutterstock.com働くアラフォー女性320人にアンケート。 デートの支払いをどうするか、一緒に暮らすなら生活費や大きな出費をどう出し合うか、パートナーとお金の問題はついてまわるもの。夫婦(カップル)のお金事情を調査! 他の画像を見る「お金に関して、主導権は自分とパートナーのどちらにありますか?」という質問に「自分」と回答したのは38%、「パートナー」が15%、「どちらも」が47%でした。パートナーに主導権があるカップルは少ないですね。「パートナーの年収を知っていますか?」と聞いてみると「YES」が43%、「NO」が57%でした。半分以上の人がパートナーの年収を知らないことにちょっと驚き。やっぱりお金のことは聞き出しにくい!?「お金のことで喧嘩をしたことがありますか?」という質問に「YES」と回答したのは20%、「NO」と回答したのは80%でした。喧嘩をしたことがあるカップルは少なめでしたが、喧嘩をした理由について聞いてみると「結婚当初はお小遣い制だったのに、なし崩しになってしまったので」(うしゃさん) 「相談もなくパートナーが不動産を購入したため」(Modaさん) 「パートナーのボーナスの使い道に納得がいかなくて」(とまとさん) 「年収格差(パートナーは自分の4倍)があるのに割り勘なので」(かぽねーぜさん) 「ブランド品を買いすぎだと注意されて」(キッカさん) 「化粧品の値段が高いと文句を言われたから」(たまねぎさん)高額な買い物を勝手にされたら怒るのも当然! でも反対に使いすぎについて注意されて喧嘩になってしまった人も……。高額なものを購入する際は事前にパートナーに相談した方がよさそう。「お金のことでパートナーと別れの危機を迎えたことがありますか?」という質問に「YES」と回答したのは15%、「NO」が85%でした。味覚やセンスの違いはある程度受け入れられても、お金の価値観の違いは深刻な問題に発展する可能大。なかには「お金の価値観の違いで離婚しました」という人もいました。<資産運用> 「パートナーと資産運用について勉強中」(くぷさん)。資産運用に興味がある人が多数いましたが、「方法がわからない」(やまこさん)、「マネープランを立てて資産運用しようとプロを探して話を聞いたものの、何も実行できていない」(りくママさん)という声も。<お金に関してお互いに干渉しない> 「お金についてはそれぞれが管理することにしていて、お互いに干渉しない」(mikiさん) お互い納得の上でお金の管理はそれぞれがする。こういう方法もありますね。<お金についてパートナーと話し合う> ボーナスの使い道、子供にかかる費用、老後までに貯めておくお金について、きちんと話し合っているカップルも。 「ボーナスがでた日の夜に、パートナーと家で飲みながらボーナスの使い道について話し合う」(とこさん)。「大学資金など将来子供にかかる費用について相談中」(Hさん)。「老後までにいくら貯めないといけないかパートナーと話し合っている」(マロンさん)。パートナーとお金の話はしにくい空気がありますが、パートナーと末永く幸せに過ごすためには、普段からお金について話し合って協力し合うのがベストかもしれませんね。あなたにオススメの記事:アラフォー女性たちは「キャッシュレス化」の波に乗れている? 本音と実態を調査アラフォー女性の浮気のボーダーラインは「手をつなぐ」が1位! 浮気をされたらどうする?アラフォー女性の2人に1人がセックスレス。セックスレスになってしまった理由は?アラフォー女性の美意識は高い? ヘアサロンに行く頻度や費用を調査!文/Yuko Aoki
  • アラフォーの関心事「マネー」について、初心者にわかりやすく女性税理士が解説!第5回は、40代から考えておくべき相続のお話。後編は自分の相続対策についてです。版権:Burdun Iliya/Shutterstock.com「相続対策なんて年配の人がすること。自分たちにはまだ必要ない」そう思っているアラフォー女性は多いと思いますが、実はそうとも言い切れないのです。人は年齢の順に亡くなるとは限りません。働き盛りの40代や50代の人が突如亡くなってしまう、ということだってあるのです。働き盛りの夫(妻)を失った家族は大変です。一家の大黒柱を失うことになれば、金銭的に困ることはもちろんですが、それ以外にもアラフォー世代の相続にはあっと驚く落とし穴があるのです。 あっと驚く落とし穴が待っているのはこんな人 ・未成年の子供がいるご夫婦 ・子供がいないご夫婦未成年の子供がいる人は要注意!? 未成年の子供がいる家庭の相続は大変です。もちろん、これからお金のかかる未成年の子が残されるだけでも大変なことです。でも、大変なのはそれでだけではありません。未成年の子がいる場合の相続の思わぬ落とし穴は2つです。 1. 夫(妻)の遺産の分け方を自由に決められない! 2. 払わなくてもよい相続税を払うことになるかも! 職場で倒れて帰らぬ人となってしまったAさん(男性・48歳)。Aさんは、会社員の奥様(45歳)と中学3年生(15歳)の息子さんの3人家族でした。Aさんは大企業勤務で年収もそれなりに高かったため、自宅マンションと金融資産、退職金や生命保険など、全部合わせると1億円程度の財産を持っていました。 相続人が2人いる場合、4200万円以上の財産があると相続税の対象となります(以下表参照)。■相続税の課税ライン※法定相続人が1人増えるごとに600万円ずつ増えますAさんも相続税の課税対象者です。いくら1億円もの財産があるといっても、この先の生活を思うと余計な相続税なんて払いたくはありません。でも、若くして亡くなったAさんは相続税対策もしていませんでした。「いったいいくらの相続税がかかるのかしら・・・・・・」Aさんの奥さんは途方に暮れてしまいました。 でも実は、相続税を払わなくていい方法はあるのです。Aさんの財産をすべて奥様が相続すれば、相続税はかかりません。奥様が相続した場合、1億6000万円まで(それを超えても法定相続分まで)は相続税がかからないのです。でも、残念ことに未成年の子供がいる場合、そう簡単にはいかないのです。 未成年の相続人がいる場合、家族だけで勝手に財産の分け方を決めること(遺産分割協議といいます)ができません。未成年者は遺産分割協議ができないと、法律で決められているのです。未成年者が遺産分割協議をするためには、代わりに協議をしてくれる「特別代理人」が必要になるのですが、これがなかなかヤッカイなのです。 まず誰に「特別代理人」を頼むのか、という問題。「特別代理人」は、遺産分割協議の相手となる親や兄弟はなれません。財産の話を聞かせてもいい誰かを、探して頼まなければならないのです。しかも「特別代理人」になるためには、家庭裁判所に認めてもらわなければなりません。この時、家庭裁判所は遺産の分け方もチェックするのですが、「妻に全部相続させる」という内容では、OKを出してくれないのです。 ちょっとムズカシイ話になりますが、「特別代理人」を立てるのは子供の権利を守るためです。「妻が全部相続」すると、子供が何ももらえないことになります。もし、鬼のような母親で、財産を独り占めして子供が路頭に迷ったら……子供の権利は守れませんよね。というわけで、裁判所としては原則「法定相続分通り分ける」ことを要求してくるのです。 Aさんの場合、奥様が全財産を相続すれば相続税はかかりませんが、家庭裁判所の要求通り、法定相続分(妻と子で2分の1ずつ)で分けると、約335万円(※)もの相続税がかかってしまいます(※配偶者控除と未成年者控除を勘案後)。 普通の感覚だと「相続税がかからないほうが家族の財産が減らないのだから、子供を守ることになるのでは?」とも思うのですが、その主張が認められる可能性は少ないのです。もし、相続税がかからなかったとしても、家族の話し合いに「特別代理人」なる人を参加させる、しかもそれを「家庭裁判所」に申請するなどという仰々しいことをするなんて、愉快なものではありませんよね。 では、こんな事態を避けるためにはどうしたらいいのか。解決策は、遺言書です。遺言書で財産の分け方を決めておけば、遺産分割協議は必要ありませんから、「特別代理人」もいりません。かく言う私もAさんと同様中学3年生の息子がいますので、夫とそれぞれ遺言書を書いています。 遺言書といっても、難しく考える必要はありません。少なくとも子供が未成年のうちは、夫婦でそれぞれ「自分の全財産は妻(夫)○○に相続させる」と書き残しておけばいいのです(日付と印鑑を忘れずに!)。未成年のお子さんのいる方はぜひ、遺言書を書いておいていただきたいと思います。子供のいない人も要注意!? ここまで読んで「うちは子供がいないから大丈夫」と思った方、ちょっと待ってください。子供のいないご夫婦の相続も要注意です。「夫が死んだら財産は全部妻のものになるんでしょ」などと思ってはいませんよね。 「夫が亡くなったので、銀行に手続きに行ったら、夫の兄弟と財産の分け方について決めないと預金が動かせないと言われました。夫の兄弟とは何年も会ってなかったのに、どうすればいいんでしょう」。Bさん(女性・47歳)は困っています。 子どもがいないご夫婦の場合、夫が亡くなると妻だけでなく、夫の親もしくは兄弟姉妹も法定相続人になります。Bさんの夫の両親は他界していますが、兄と弟がいるとのこと。このように、相続人が複数いる場合、誰がもらうかはっきりしていない預金口座は凍結されて動かせなくなってしまいます。Bさんは夫の兄弟と遺産をどう分けるかを話し合わなくては、お金を引き出すこともできないというわけです。「これから夫の兄弟に電話をして、遺産分けの話をしましょうと言い出さなければならないなんて、気が重いです。もし、夫の財産をよこせなんて言われたらどうしよう」 ご主人の財産をめぐって、その両親や兄弟姉妹と遺産争いになることも決して珍しくありません。夫の兄弟の弁護士から「財産を相続する権利がある」と連絡を受けたというのもよく聞く話です。 こんな時も、遺言書が有効です。「妻に全財産を相続させる」という遺言書があれば、B子さんは、単独で銀行からお金を引き出すこともできたし、義理の兄弟と遺産分割の話し合いなんて恐ろしいことをする必要もなかったのです。AさんもBさんの夫も、自分がこんなに早く亡くなるなんて思ってもいなかったかもしれません。でも、相続はいつ誰に起こるかわからないのです。 「まだ若いからいいよ!」などと言わず、転ばぬ先の杖と思って、遺言書作りにチャレンジしていただきたいと思います。▶︎次回は1月23日(水)更新予定 板倉 京(いたくら みやこ) 株式会社WTパートナーズ http://wt-partners.jp/代表取締役 税理士 IFA成城大学卒業。保険会社・コンサルティング会社、税理士法人等で個人の資産や相続の業務に携わる。資産運用コンサルティングを行う(株)WTパートナーズ代表。NHK『あさイチ』などのテレビ出演や全国での講演、書籍の執筆などの活動も多数。
  • アラフォーの関心事「マネー」について、初心者にわかりやすく女性税理士が解説!第4回は、40代から考えておくべき相続のお話。前編は親と一緒に相談しておきたい相続準備についてです。版権:jeffy11390/Shutterstock.comアラフォーの親世代である60代~70代。この世代の人たちはアラフォー世代に比べて多くの財産を持っています。総務省のデータによると60代~70代の世帯の家計資産は約4800万円。40代は1965万円。その差3000万円弱です。 今の60代~70代は、恵まれた時代を謳歌した世代。経済は右肩上がり、給与は毎年上がり、終身雇用も退職金も約束されていました。 でも、今のアラフォーは違います。給与が上がることも期待できず、超高齢化社会のあおりで、社会保険料の負担は毎年増えるばかり。終身雇用制度も崩壊すると言われ、退職金もどこまで期待できるかわかりません。こうなると、恵まれた親世代が残してくれる相続財産も見逃すことができない大切な収入源のひとつとなってきます。仮に、親世帯の平均保有資産額約4800万円を相続で受け継ぐとしたら・・・・・・相続人が複数いたとしても、もらえる財産は相当なものです。均等にもらうとして、2人なら2400万円。3人なら1600万円もらえる計算となります。 人生で最大の収入といわれる退職金の平均額は、大学卒で1997万円、高校卒で1724万円です(厚労省データより)。これは、35年以上勤務した人の額の平均です。つまり、相続でもらえる財産の額は、退職金よりも多い、まさに人生最大の収入になるかもしれないのです。相続こそしっかりとした準備が必要 少しでも資産を増やそうと投資や貯蓄をする時には、少なからず投資対象について調べたり、必要な準備をしますよね。相続も同じです。それどころか、相続で手にする財産は、投資の利益などよりもずっと多いのですから、相続こそしっかりした準備をするべきなのです。 相続は、法律や税金がからむ問題でもあるので、それを知らずにいると思わぬ失敗をすることもあります。また、相続は家族問題を引き起こす可能性も含んでいます。親の相続をきっかけに、家族が不仲になったという話は、皆さんも聞いたことがあるでしょう。 「うちは大丈夫」と思われるかもしれませんが、相続のように大きな金額を手にする機会は、そうそうあるものではありません。事前の準備で防げるものならば、しておいていただきたいと思うのです。いくら財産をもらっても、家族が不仲になってしまっては、意味がありません。 相続で失敗や損はしたくない。嫌な思いも、もちろんしたくない。ならば、事前の準備が大切なのです。ここでは、今すぐ始められる相続準備の4ステップをご紹介します。相続準備の簡単4ステップ <ステップ1>どんな財産があるかを、リストアップする <ステップ2>1をもとに、誰にどの財産を相続させるか考える <ステップ3>2をもとに、遺言書を作成する <ステップ4>1をもとに、相続税がかかるか確認する なんだか面倒くさそうに思うかもしれませんが、これって実は相続の準備をしないまま親が亡くなってしまったら、残された家族がしなければいけないことなんです。 相続対策をしないまま親が亡くなった場合にしなければいけないこと 1. どんな財産があったかをリストアップする 2. 1をもとに、誰がどの財産をもらうかを決める 3. 2をもとに、遺産分割協議書を作る 4. 同時並行で、相続税がかかるかを確認し、かかるなら死亡の日から10カ月以内に相続税の申告をする どちらも同じことをするのは、おわかりいただけましたよね。どうせ同じことをするなら、財産の持ち主がいたほうがずっとラクです。 1の財産のリストアップについては、どのくらいの財産がどこにあるのかは、財産の持ち主がいちばんよく知っています。同居していない親の財産がどこにあるかわからずに、大変な思いをする人も少なくありません。 2の財産の分け方を決めるのも、財産をもらう者同士が話し合いで決めるのは、至難の業。あげる人が決めたほうがスムーズでもめごとも少なく進められます。 4の相続税は、事前の準備段階で、相続税がかかることがわかっていれば、納税資金の準備もできます。そして、なんといっても相続税は、節税対策の効果が出やすい税金です。事前に対策すれば、税金を大きく減らすことも可能です。親と一緒に相続対策 そうはいっても、相続財産は親のもの。「勝手なことを言ったりしたりするのは気が引ける」と思うかもしれません。もちろん、親の財産を勝手にどうにかするなんてことはしてはいけません。でも、相続の準備はぜひ親子でやっていただきたいのです。 理由は、3つあります。 1. 相続準備を本人(親)が率先して始めることは少ない 親世代、特に父親は相続対策に消極的な傾向にあります。自分が死んだ後のことを考えるのに抵抗があるのか、はたまた、自分に相続対策なんていらないと思っているのかもしれません。でも、相続の準備はしておいたほうがいいです。事前の準備のほうが相続後の後処理よりも、手間もかからず効果も高いという話は既にお話した通りです。相続準備に乗り気にならない親世代の背中を押すのも子世代の役目だと思うのです。 2. 相続準備には手間がかかる たとえば、ステップ1の財産リスト作り。持っている財産を探し出し、整理してどんな財産があるかのリストを作るといいのですが、これがけっこう手間がかかります。特に親がパソコンを利用できない場合、財産リストを手書きで作ることになってしまい、大変です。しかも、できれば財産リストは定期的に見直しをしていきたいので、子供がエクセルなどで作成してあげるとスムーズに進めることができます。自分の財産を一覧で見ると、それはそれで感慨深いものがあるようです。 3. 親子で進めるほうが効率がよい 相続対策は、親が勝手にやればいいというものではないと思います。それでは、お互いの気持ちが通じ合わないからです。気恥ずかしいことを言うようですが、相続対策では、家族の気持ちが通じ合うことがとても大事です。相続準備をする時は、家族でたくさん話し合ってほしいと思います。相続について話すということは、それまでの家族の歴史、お互いへの思いを伝え合うことでもあるのです。恥ずかしいことや言いにくいこともあるかもしれませんが、家族の絆が深まること間違いなしなのです。 そろそろお正月。これを機会に家族が集まるというご家庭も多いでしょう。このお正月に思い切って相続対策の話をしてはいかがでしょうか。▶︎次回は1月9日(水)更新予定 板倉 京(いたくら みやこ) 株式会社WTパートナーズ http://wt-partners.jp/代表取締役 税理士 IFA成城大学卒業。保険会社・コンサルティング会社、税理士法人等で個人の資産や相続の業務に携わる。資産運用コンサルティングを行う(株)WTパートナーズ代表。NHK『あさイチ』などのテレビ出演や全国での講演、書籍の執筆などの活動も多数。
関連キーワード