今までと違う感に戸惑います・・・「もしかして私、更年期ですか?」
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☆お話をうかがったのは…

よしの女性診療所 吉野一枝院長
産婦人科医、臨床心理士。多くの業種を経て医師に。経験値に基づく深いアドバイスは信頼度抜群 


銀座内科・神経内科クリニック 霜田里絵院長
医学博士。脳を活性化して心身の美を育む"美人脳"の提唱者。幸せに更年期を送る秘策を伝授

【1】そもそも更年期ってどんなこと?

誰もが避けては通れない更年期。でも、ただ症状を聞きかじっておびえていても得はなし。その時体内で何が起こるのか。まずは正しく理解して、その先へ!

35歳はホルモンの分岐点。 40代は更年期の入口

女性の毎日は、ホルモンバランスに育まれ、揺らぎ、守られ、翻弄される。その守りから解かれる時、やってくるのが更年期だ。閉経とともに、体が子供を産むための役割を終える大きな変換期。その時何が起こるのか。

「一般的に更年期(正式には更年期症候群)とは、閉経をはさんだ前後10間のことをいいます。個人差はあるものの、多くは50〜52歳で閉経を迎えるので、更年期の定義は45〜55歳。とはいえ、更年期に入る前に不調を感じて相談にいらっしゃるアラフォー世代も多いんです」(吉野先生)

その不調を生む原因こそが、体内の女性ホルモンの変動。

「女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、これらが一定のリズムでバランスを取りながら排卵、月経を繰り返します。ところが35歳ごろを境に、特にエストロゲンの分泌が減りはじめ、40代に入るとジェットコースターのようにガクンと急降下(右グラフ参照)。この前後から月経周期が乱れ、やがて閉経を迎えます。定義では、月経が1年間来ない状態が閉経です」(吉野先生)
つまり、“更年期”のきざしは35歳ごろから始まっているというわけだ。

「しかもこの年代は、いろいろな人生のライフイベントも重なる時期。子供の思春期や受験、親の病気や介護の問題。仕事では責任ある役職について、精神的な重圧を感じることも。こんな心の問題とも、更年期は密接な関係があるんです」(霜田先生)

それは、ホルモンが自律神経を司る脳との連携プレーで保たれているから。

「卵巣で分泌されるホルモンも、元をたどれば脳の視床下部から指令が送られ、脳下垂体、卵巣と伝達されて初めて分泌されるもの(下画像参照)。更年期の始まりも、卵巣がこの指令にだんだん無反応になる“卵巣機能低下”が発端です。ストレスにも敏感な脳が混乱を起こし、多くの更年期症状が引き起こされていくのです」(吉野先生)

【2】更年期かもと思ったらまずは婦人科へ!

更年期の予感がしたら、まず訪れるべきは婦人科。たらい回しにされず、的確なカウンセリングとアドバイスが受けられる!

自分を知り、知ってもらう。 持つべきは、かかりつけ医

女性ホルモン・エストロゲンの分泌量がぐっと減少する40代後半は、心身ともに大きな変化を迎える時。

「ここから約10年にわたる更年期ではのぼせやほてり、発汗など更年期特有の症状が現れやすくなります。人によって感じる症状や重さは本当にさまざまですが、治療が必要な“更年期障害”のケースは、3人に1人程度です」(よしの女性診療所・吉野一枝院長)

案外、少ないかも? と思った人も多いのではないだろうか。

「ところが、更年期にぐっと減ってしまう女性ホルモン・エストロゲンは、目には見えないところで体のさまざまな働きをサポートしている大事な潤滑油。それだけに、閉経へ向かって量が減ると、今までは抑えられていた病気のリスクも一気に高まることになります」(吉野先生)

例えば、糖尿病や高血圧などがそう。また中性脂肪の値が上がったり、体重が増えるのも、エストロゲンが減って代謝が落ちることが理由のひとつ。

「エストロゲンの働きは、脳や心臓、血管、骨、筋肉、皮膚にいたるまで全身に及ぶため、分泌量が低下すれば、その影響も全身に。これによる更年期症状は、ホルモン補充療法や漢方薬などでツラさを緩和できます。閉経後は急激に骨密度が落ちることによる骨粗しょう症や、動脈硬化などリスクが出てくることを考えると、今の自分の体の状態を知るためにも、早めの受診が得策です」(吉野先生)

何はなくともまずやるべきは、現在の自分のホルモン数値を知ること。

「そしてあなたの体のニュートラルを知るかかりつけ医をもつこと。病院は病気の時だけに行く場所ではありません。更年期に備え、なんでも相談できる環境づくりから始めてみて」(吉野先生)

【婦人科でできること①】今の体の状態をチェック

最初に婦人科を訪れるべき理由。それは、今現在の自分の体の状態をまず自分で把握することが大事だから。

「クリニックで行う血液検査では、ひととおりの体のチェックに加え、希望すればホルモン値を測ることもできます。更年期かも? とクリニックに訪れる患者さんの場合、そのきっかけの多くは月経の変化。まず周期が早まって量が減ってくるのがホルモン低下のサインなので、ホルモン検査で今の状況をチェックしてみるといいでしょう。ただし、ホルモン値が悪くても症状がない人、逆に数値がいいのにひどい症状の人もいるので、検査の結果だけにこだわらず、気になる症状があれば、詳しく医師に相談してください」(吉野先生)

■ホルモン値の検査について

女性ホルモン値は、採血による簡単な検査で調べることができる。婦人科であれば基本的にどこでも可能。費用はクリニックによって異なるが、自費診療で¥5,000〜10,000ほど。更年期症状があれば保険適用されるケースもある。

【婦人科でできること②】ホルモン治療

「更年期の治療の核は、"ホルモン補充療法(HRT)"です。日本ではまだまだ副作用を恐れる女性も多いのですが、HRTはローリスクハイリターンの治療法です。補う量も必要最低限なのでごく微量。塗り薬、貼るパッチ剤、内服薬があり、特に更年期の3 大症状"のぼせ・ほてり・発汗"によく効き、費用も保険適応なので1 カ月分¥2,000〜3,000程度です。アラフォーのプレ更年期世代であれば、ピルも有効ですよ。ただし、乳がんや子宮体がん、心筋梗塞など、一部の病気経験者には処方できないのでほかの方法を医師に相談してください」(吉野先生)

■婦人科の選び方

吉野先生、どうすればいい先生と出会えますか? そんな質問を投げかけてみる と「女性医療に理解のある医師選びがまず最優先。クリニックのHPを見れば更年 期外来に力を入れているところなどはすぐにわかります。更年期の治療は特に個個の性格や環境によって治療法も異なります。相性も大事にしてください」

【3】更年期かも、と思ったら「脳のコントロール」からはじめよう

ホルモン量の低下という一大事が起こる更年期。症状の個人差や大小には"脳"も深く関与している。脳を上手に操れば……? "美人脳"本の著者が解説

更年期こそメンタル再構築。美人脳づくりの勝機!

「更年期をつらくするもうひとつの原因に“自律神経の乱れ”があります。女性ホルモンの低下に加えて、過剰な精神的・身体的ストレスや、その人の性格も引き金になり、さらに心のバランスをくずしてしまうんです。特に、若さへのこだわりが強く、周囲に依存的で守られて生きてきた女性ほど、閉経=女としてのピークを過ぎたと悲観し、喪失感に苛まれる傾向にあります」

そう語る銀座内科・神経内科クリニックの霜田里絵院長は、人生を上り調子にする“美人脳”の提唱者でもある。そんな先生がおすすめする、更年期の脳コントロール法は、①運動、②睡眠、③食事、④人生設計の見直しの4つ。

「更年期の10年を鬱々と過ごすなんて人生の8分の1を失うようなもの。今までの経験値や知性の蓄えを土台に、この先の人生の軸となるビジョンを再設定して、真の美しさを目ざしてください」(霜田先生)

【4】先輩に聞きました!「私の更年期、これで乗りきりました!」

あれがいい、これがいいと噂ばかりを拾い集めて、耳年増になりがちなのも更年期の性。事実、人それぞれに効くアイテムも違うようで……
アンケートで聞いた更年期の先輩たちの「これ効いた!」リストをお届け! 未来の不調に備えて、心の準備を。

①コミュニティ活動
こんなユニークな対策も、更年期ならでは! 「ときめきが大事と聞いて、無理矢理職場の人に片思いの妄想、実生活ではアイドルを応援」(43歳・会社員)。また危うきに近づかないのも策のうち。「イヤな人とは付き合わずストレスを減らす」(44歳・派遣社員)

②スポーツ
スポーツ部門では、ホットヨガ体験者が圧倒的多数。「不眠症状がつらくてホットヨガを始めたら、よく眠れるように」(43歳・会社員)。また習慣的に運動する派は無敵の様相。「ジョギングを日課にしているせいか、まだ不調はない」(45歳・公務員)

③ホルモン治療
やはり信頼度が高い婦人科の治療。「婦人科のホルモン補充療法テープを下腹部に貼ったら、劇的に汗やめまいが改善」(52歳・パート)。こちらもあっぱれな活用法。「薄毛が心配でホルモン剤入りの高価な育毛剤を定期購入。効いてます」(47歳・自営)

④食生活改善
「更年期にはイソフラボン! 大豆製品を積極的に摂取していたら、ダラダラ生理はなくなった」(43歳・アルバイト)。こちらは、生薬で日々改善派。「ホルモンが分泌されやすくなる薬膳を日々の食事に取り入れたら、頭痛などが軽く」(40歳・自営)

撮影/八木 淳(SIGNO) ヘア&メイク/森野友香子(Perle Management)スタイリスト/程野祐子 イラストレーション/中根ゆたか モデル/小濱なつき 取材・文/田中あか音 構成/原 千乃
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