映える=派手、映える=頑張るじゃない。人気エディター磯部安伽「映えるベーシック」をつくる5つのメソッド②磯部安伽磯部安伽確かな構成と美しいビジュアルのページ作りで、各誌で活躍するファッションエディター。洗練された私服スタイルのファンも多数<これまでの価値観や、あたりまえだった生活が一変してしまった2020年。 私自身のファッションに対する考えも少しずつ変化して、これまでよりも"着映え"を大切にするようになりました。 どこかに出かけること、誰かと会うこと、そのために服を着ることが特別になり、 せっかくおしゃれをするならどうでもいい服は着たくない、 久しぶりに人に会うなら気分よく一緒にいてもらえる服を着たい、 そんな気持ちが着映えへの意識を高めていったんだと思います。 でもそれは決して派手だったり、奇抜な服を選ぶことではありません。 だって私が愛するベーシックという軸は変えられないし、変えたくないから。 きれいなシルエットを厳選する、手をかけて重ね着をする、今まで以上にひとつひとつのおしゃれにていねいに取り組むことで、ベーシック派なりの着映えをかなえていきたいんです。そして、たどりついた秋冬のワードローブやコーディネートは、 少しだけ華やかで、確実に気分を上げてくれるものばかり。最近はおしゃれする意欲がない、服が欲しくないなんて声も耳にするけど、どんな時でも服を選んで、着ることに変わりはないのだから、 前向きに取り組んだほうがきっと毎日は素敵なものになる。 今回提案させていただく"映えるベーシック"が、 ファッションを楽しむきっかけやヒントになるとうれしいです。
磯部安伽 >
※価格表記のないものはすべて本人私物ですメソッド②
「ニットはビッグカーデかコンパクトニットの2択です」
<最近、ニットは何かにはおったり、何かを重ねたり、一枚で着るよりも"手をかけたい"気持ちです。その少しの手間や工夫が着映えにつながるし、ベーシックなデザインを選んでも地味に見えないから。特に推したいのは大きめのカーディガンか、小さめのクルーネック、もしくはタートル。サイズ感が普通じゃないだけでこなれて見えるし、レイヤードスタイルも決まりやすい。なんとなく選んでしまいがちな服ですが、ニットこそ試着が必須のアイテムだと思っています。>☆BIG CARDIGAN■ビッグボリュームのカーディガンを、シンプルコーデにはおって主役使い「装飾がないのに絵になるのは、思いきったボリューム感と長め丈がなせる業。そんな一枚がきわだつよう、インはサーマルとデニムの白いワントーンに。この重量感ならあえてニットonニットも可愛いなと思います」。
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KNIT: HAVEL STUDIO THERMAL SHIRT: THE SHINZONE DENIM: upper hights BAG: J&M DAVIDSON SHOES: Sergio Rossi SUNGLASSES: EYEVANカーディガン¥72,000/アパルトモン 青山店(ハーヴェル スタジオ) パンツ¥25,000/ゲストリスト(アッパーハイツ) バッグ¥160,000/J&M デヴィッドソン 青山店(J&M デヴィッドソン) 靴¥95,000/セルジオ ロッシ カスタマーサービス(セルジオ ロッシ) サングラス¥38,000/アイヴァン PR(アイヴァン)
■“はおる”のではなく“かぶる”。今どきなカーデの着こなし技「ボタンをあえてとめて着る、スカートやパンツじゃなくワンピースの上からかぶる、そんなちょっとの意外性がコーデをおしゃれに見せるカギになっています。この冬一枚持っておきたいカーデはVネックがベスト。クルーではややほっこりするし、Vのほうがインナーが見えやすくレイヤードが映えるから。それから、このコーデは足もとにニーハイブーツを忍ばせたのもポイント。一見なんてことなく見えるけど、実は今っぽく見える工夫をたくさん仕掛けています」。DATA
KNIT: SACRA DRESS: OR for RHC BAG: J&M DAVIDSON SHOES: STUART WEITZMAN EARRINGS: no brand BANGLE: HERMÈSカーディガン¥33,000/インターリブ(サクラ)☆COMPACT KNIT■ただインするだけで洗練されて見える。リブタートルという愛すべき一手「新しいテクニックでもないのに、なぜかタートルを仕込むだけでどんなトップスも今どきになる。簡単だし、暖かいし、うれしい流行です。私はニュアンスの出る太いリブ編みのタートルを愛用していて、実をいうと合わせたタイトスカートは細いリブ編み(笑)。太さの違う編み地がコーデのアクセントになって、ベーシックなアイテム同士でも華やぐんです。モノトーンの着こなしも地味にならずモードに決まります」。
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COAT: Chaos SHIRT: THIRD MAGAZINE KNIT: RHC SKIRT: Whim Gazette BAG: HERMÈS SHOES: THE ROW COIN NECKLACE: MARIHA EAR CUFF: MARIHA RING: MARIHAイヤカフ¥19,000・太リング(右手)¥210,000・三連リング(左手)¥135,000/マリハ 伊勢丹新宿店(マリハ) Winter Basic by YASUKO ISOBE 77■クルーネックのニットには、必ず半袖ではなく長袖のインナーを「この冬に新調したのはサイドに切り込みが入っていたり、短めの丈だったり"レイヤード前提"でつくられたネイビーのプルオーバーニット。重ねるのはシャツでもTシャツでもいいのですが、必ず長袖の白を選ぶのがお約束。襟、すそだけでなく袖口からもインナーがのぞくこと、ニットとは反対色であることで、重ね着していることがわかりやすいから。ネイビーのニットと黒いパンツなんて超王道の組み合わせなのに鏡の前に立つと気分が上がる。ワンツーコーデでは得られない高揚感が、このひと手間で得られるんです」DATA
KNIT: Maison Margiela LONG SLEEVE T-SHIRT: N.O.R.C PANTS: HYKE BAG: THE ROW SHOES: Maison Margiela CHARM NECKLACE: MIZUKI NECKLACE: no brand RING: HERMÈSバッグ¥52,000/イアクッチ大丸東京店(イアクッチ) ネックレス¥20,000/マリハ 伊勢丹新宿店(マリハ)【Marisol1月号2021年掲載】撮影/魚地武大(TENT/物) 須藤敬一(人物) ヘア&メイク/TOMIE(nude.) スタイリング協力/松村純子