最近、夫の様子がおかしい。こんな症状は男性更年期のせい?【WEB限定 夫の更年期Q&A vol.3】
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CASE5 細マッチョだった若い頃の体型ではなく、細身ながらもお腹が出てきて、後姿もすっかり中年体型に……

A:30代位からお腹が出てきて、40代になるころにはすっかりメタボ体型……という男性は少なくありません。男性ホルモン(テストステロン)には筋肉の維持と成長を助ける働きがあるため、テストステロンが減るということは筋肉が減ることにつながります。筋肉量が低下すれば、基礎代謝も落ちるので、より太りやすくなります。そして、筋肉量が減ると生活活動も減る傾向にあることがわかっています。テストステロンが減少し、男性更年期障害が起こりやすくなる時期とメタボ発生の時期は、重なっています。アメリカの研究によると、テストステロンが少ない人はそうでない人に比べてメタボに3倍成りやすく、死亡リスクが30%高いという報告が出てきています。
筋肉が減って体脂肪がたまると内臓脂肪が増えてきます。内臓脂肪型肥満になると、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病にかかりやすくなるので、中年になったら太らないよう気をつけるにこしたことはありません。
「太りやすくなり、お腹が出てきた」というのは、男性更年期障害の1つのサインだと自覚して、ぜひ生活習慣を見直してほしいと思います。女性も女性ホルモンが低下する40代からはやせにくく、太りやすくなる傾向にあります。ご主人とジムへ通うなど、健康的なダイエットに一緒に組まれるとよいと思いますよ。

コラム 男性更年期障害(LOH症候群)の治療法

男性更年期障害は「LOH症候群」とも言われ、男性ホルモンである〝テストステロン〟の分泌量の低下が原因で引き起こされます。そこで、更年期症状を緩和するために取り入れられているのが「男性ホルモン補充療法」。この治療法は男性更年期を診てくれる泌尿器科やメンズヘルス外来などで受けることができますが、日本ではまだあまり知られていません。また、「ホルモン補充療法」というと、精力剤などの性的な治療法やドーピング剤のように誤解している人も少なくありません。どんな治療法なのか、誰でも受けられるのかなどについて、メンズヘルスクリニック東京 院長の小林一広医師に聞きました。

◎ホルモン補充療法とは?

「男性ホルモン補充療法は、テストステロンを体内に直接注入する治療法です。現在、保険の適用が認められているのは、注射によるテストステロン補充のみ。ほかに、塗り薬(クリーム)や経口薬を処方してくれる医療機関もありますが、これらは保険適用外なので自己負担となります。海外では、注射、塗り薬、貼り薬、飲み薬などもよく使われています」と小林先生。
注射は、打って3日前後で体内血中濃度がピークを迎え、なだらかに下がり続けるため10日に1度くらいの補充が望ましいとか。
「とはいえ、何度も通院していただくのは大変なので、当院では注射での補充に加え、塗り薬を処方してテストステロン値を維持するようにしています。更年期障害の治療には漢方薬なども用いられますが、やはりダイレクトに効いてくるのは、テストステロンの補充。睾丸や皮膚に塗って使う塗り薬は、毎日塗ることで、自然な分泌リズムに近づけます。痛みもありません」

◎費用は? 誰でも受けられるの?

男性更年期障害(LOH症候群)の診断・治療は、通常、カウンセリング、AMS調査法(男性更年期症状のセルフチェック)、血液検査(テストステロン値を測定)などの検査からスタート。
「LOH症候群と診断されると治療の対象となり、ホルモン補充療法は、年齢に関係なく受けることができます。男性更年期の症状が出てくるのは一般的に40代ぐらいからですが、70代、80代で治療を受けている方もいらっしゃいます。ホルモン補充療法を行っているクリニックは、事前にネットなどで調べておくとよいでしょう」
ちなみに、メンズヘルスクリニック東京では、ホルモン補充の注射が1回5000円程度、外用薬(塗り薬)が3ヵ月分で3万円ぐらいとのこと。このほか、治療ではテストステロンを作る能力を高める漢方薬を使ったり、EDで困っている場合には勃起補助薬なども使われます。

◎副作用は心配ない? 一度、ホルモン補充療法を始めたらやめられなくならない?

テストステロンには筋肉増強作用があり、ドーピング防止のための禁止薬物に指定されているのは事実。ですが、一般の人では、医師の指導のもと使用量をきちんと守れば副作用もほとんどなく、安全性の高い療法とされています。「むしろ、減ってきているテストステロンを増やすことは、心身の健康を保つ上で非常に有効な治療法です」(小林先生)。
受診した患者の中には、「男性ホルモンを補充すると、毛髪の脱毛や前立腺がんが増えるのではないか」という不安を口にする人も少なくないそうですが、どちらも心配ないとのこと。

がんとの関連については、「ホルモン補充療法で前立腺がんが発生することはありません。ですが、もともとがんがあった場合に、がんが大きくなることはあり得ます。ですから、前立腺がんがないかどうかを調べておく必要があります。ホルモン補充療法を行う前に、ヘルスチェックをきちんと行うことが大切ですね」
注意したいのは、睡眠時無呼吸症候群がある場合。テストステロンを補充すると悪化する可能性があるため、そちらの治療を優先することになるそう。いずれにしても、メンズヘルスや男性更年期障害に詳しい医療機関、信頼できる医療機関で相談することが重要です。

また、ホルモン補充療法は、一生続けなくてはいけないというわけではなく、更年期の症状が治まってきたら量を減らしたり、生活習慣の改善のみで過ごせる可能性が出てきます。やめられなくなるのでは?という心配は無用とのことです。
超高齢化社会に入り、人生100年時代が見えてきました。どれだけ長く若々しく元気でいられるかで、人生の充実度は大きく変わってきます。また、女性の更年期同様、男性にも更年期があることが最近知られるようになり、症状を楽にする治療法もあることがわかってきました。男性更年期が原因らしき症状で困っているなら、思いきって診察&治療を受けてみるのも手。日本でホルモン補充療法を行っている病院やクリニックはまだ少ない状況ですが、自分に合う専門クリニックを見つけて相談してみてください 。

●教えてくれたのは…
メンズヘルスクリニック東京 院長 
小林一広先生
北里大学医学部卒。精神科医の立場からメンタルヘルスケアや頭髪治療、男性更年期の診察・治療などに力を注ぐ。精神保険指定医。https://www.menshealth-tokyo.com/

取材・文/及川夕子 イラスト/長谷川ひとみ
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