【50代の悩み】『50歳離婚』で損をしないために、今からできる7つのこと
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離婚がもたらす損得を冷静に判断するのが大切

夫婦の3組に1組は離婚しているといわれる時代。なかでも50歳以上の割合は、’00年を境に急上昇し、離婚件数の約17%にも!(厚生労働省「平成25年度人口動態統計」より)。これまで3万組以上の夫婦と対峙してきた岡野さんも、「女性の場合、子育てが一段落とか、夫の定年というタイミングで切り出す場合が目立ちます」と。
「もっとも、離婚すれば幸せが待っているわけではありません。それどころか、生活が困窮したり、今までの人間関係がくずれたりと、“損”なことが起こる可能性のほうが高いくらい。特に大きいのはメンタル面。夫と別れてせいせいしたと思えるのはほんの一時。支えてくれる人が近くにない場合、不安や寂しさから立ち直るのに、けっこう時間がかかるものです。離婚がもたらす“損”と“得”を、客観的に考え、冷静に判断してください」(岡野さん)
バロメーターになるのは、「子供が自立している/味方になってくれる」「親・兄弟が賛成してくれる」「ひとりになってもメンタル面は大丈夫/周囲の中傷にめげない」「具体的な将来像を描ける」「経済的に自立している/十分な財産分与がある」など。
離婚後、シングルマザーとして子供を育ててきた豊田さんは、「離婚は経済的に損する場合が大半」と断言。
「多額の財産分与があるとか、実家が援助してくれるなら別ですが、それはレアケース。特に専業主婦の場合は切実。働くことになると思いますが、すぐに就職できるかわからないうえに、十分な収入が得られるとはかぎりません。すでにフルタイムで働いている場合でも、生活水準を下げる必要が出てくるでしょうね。子供の年齢によっては教育費も用意しないといけませんし、養育費だって、支払いが滞らないという保証はありませんから。
それでも、精神面などでの得が、経済的な損を確実に上回るなら、離婚はありだと思います。ただし、迷いがあるのなら、離婚以外の選択肢があるということかもしれません」(豊田さん)

1.離婚で何を得たいのか?その後のビジョンも明確にする

ふたりの専門家が口にするのは、「一時の感情に流されず、まずは、『離婚しない』『もう一度やり直す』ことを考えて」という言葉。
「離婚とは、目の前の苦しみから逃れる手段ではなく、自分の努力で幸せをつかむ行動。私はそう考えています。離婚したい理由を客観的にあげ、それは解決できないのか検証し、『離婚して絶対に幸せになる』と覚悟できるならOK。ただ、離婚自体が目的になると、あとあと悔やむことになりかねません。その後の人生をどう歩んでいきたいのか、明確にすることが不可欠です」(岡野さん)。「離婚後の生活を、具体的にシミュレーションしてみましょう。今よりも幸せになれそうですか? そうでないなら、再考を」(豊田さん)。
【POINT】
メリットとデメリットを書き出してみる
離婚するか否かを客観的に判断するのに有効なのは、離婚によってもたらされるメリットとデメリットを書き出すこと。「離婚後のキャッシュフロー表(お金の出入りをシミュレーションしたもの)を作るのも一案。『生活が苦しそうだからやめよう』『なんとかできそう』など、判断の材料のひとつになります」(豊田さん)。

【POINT】
決断から"Xデー"まで半年の猶予を
「決意がどんなに固くても、いきなり夫に離婚を切り出すのは禁物。夫にとって予期せぬ事態だとしたら、すんなり受け入れるはずはありませんし、逆上される危険性もあります。離婚を真剣に考えていることを告げてから、半年は様子を見てほしいですね。その間に夫が努力して変わり、関係が修復するかもしれません」(岡野さん)

2.手もとにある「資産」を正確に把握する

ケーススタディで登場した3人の中にも、夫の資産がどれくらいあるか知らないという人がいたけれど、「それはとても危険!」と、豊田さんは指摘する。「預貯金や株、投資信託、債券、貯蓄型の保険、金、美術品、ゴルフ会員権など、婚姻中に築いた財産は、すべて把握しておきましょう。離婚して、いざ財産分与となった際、夫が正直に全財産を申告してくれるとはかぎりませんから。また、関係が悪化してしまうと、通帳などを隠されたり、預貯金を引き出されるおそれもあります。なので離婚の話が出る前に調べておくべき」(豊田さん)。「金融機関と口座番号だけでもわかれば、離婚で裁判になった際、裁判所を通じて財産開示の手続きが可能だそう」(岡野さん)。
【POINT】
共有財産をリスト化しよう
「資産はあるかどうか、いくらくらいかを漠然と知っておくだけでは不十分。預貯金なら金融機関名・支店・口座番号・残高、有価証券なら証券会社・支店・銘柄・保有数・金額(時価)、不動産なら所在地など、正確に記録しておくことをおすすめします。また、住宅ローンや自動車ローンといった負債もきちんと記録を」(豊田さん)

3.ひとりで生活するための働き口を見つける

すでにフルタイムで働いているならいいけれど、パートや派遣社員、専業主婦の場合、離婚後の生活を安定させるための仕事を得るのが不可欠。「離婚してから就職活動というのは、なかなかむずかしいもの。日本では、離婚はまだネガティブにとらえられているので、採用状況は厳しくなりがちですから。理想は、離婚の話を夫に告げる前に、働き口を見つけること。長年専業主婦だった人がいきなり正社員というのはハードルが高いので、まずはパートなど、できる範囲の仕事でよいと思います。そこで実力をつけ、将来的には正社員で安定した収入が得られるよう努力しましょう。就職の際に有利になる資格を取得しておくのもおすすめです」(岡野さん)。
【POINT】
「ヘソクリ」をつくるのは悪いことじゃない!
「私は、離婚するかどうかにかかわらず、結婚したら必ずヘソクリをもつべきだと思っています。いざというときに、自分の自由に使えるお金があるかどうかで、人生の選択肢は増えますから。結婚前の預貯金や親からもらったお金などは、夫婦の共有財産になりませんから、そうしたお金をヘソクリにあてるといいですよ」(豊田さん)

4.財産分与についての知識をつけておく

 離婚による金銭的な損を避けるためには、財産分与に関する知識もポイントに。「結婚期間中に築いた財産は、離婚する際に公平に清算します。妻が専業主婦であっても、内助の功で夫を支えてきたとみなされるので、財産は半分ずつ分けられるのが原則です。財産分与の対象になるのは、預貯金、貯蓄型保険、有価証券・投資信託、会員権、マイホームを含む不動産、マイカー、家具・家電、貴金属、美術品など。ローンなどの負債も夫婦で分担することになりますが、一方が自分のものを買うために勝手に借りたローンは対象外。嫁入り道具として持参したものや独身時代に築いた財産、洋服など日常的に使うものは分ける必要がありません」(豊田さん)。
【POINT】
夫の退職金は、退職前でも分与される
「退職金は給与の後払いという性質があるので、財産分与の対象になります。すでに退職金が出ている場合だけでなく、夫が退職前であっても分与されるケースがあります」(岡野さん)。それは、会社の規定で定められているなど退職金が出る可能性が高い場合。ただし、対象となるのは、婚姻期間に応じた分のみというのが基本。
【POINT】
夫婦間の年金分割に期待しすぎない
「妻も夫も国民年金(基礎年金)には加入しています。なので、妻が夫の扶養(3号被保険者)であっても、離婚時分割の対象になるのは、婚姻期間中の厚生年金部分の2分の1。夫の収入や婚姻期間の長さにもよりますが、それほど多いわけではありません」(豊田さん)。基本は合意に基づく分割だが、’08年4月以降分は、3号被保険者は手続きのみで分割OK。

5.ひとりで戦わない!似た境遇の人に話を聞く

「離婚を決める前に、ぜひ離婚経験者に話を聞いたり、立場や状況が似ている人に相談してほしいですね。離婚の現状がわかりますし、悩みを解決する糸口が見つかるかもしれません。自治体が運営する『女性センター』や『男女共同参画センター』で、離婚に関するカウンセリングを受けるのもよいですし、離婚カウンセラーや離婚に詳しい弁護士やFPに相談するのも一案です」(豊田さん)。「信頼できる友人の言葉はぜひ参考に。あなたを理解している人なら、それは客観的で的確なアドバイスだと思います。そうした友人がいないなら、NPO日本家族問題相談連盟の勉強会や座談会などで、同じ境遇の友人をつくってみては?」(岡野さん)。

6.子供の養育費、学費についてきちんとした話しあいを

夫と妻のどちらが親権者になるにしても、子供にとって親であることは変わらない。そのため、子供が成人するまで双方ともに扶養の義務は続き、養育費が発生する。家庭裁判所に申し立てをし、調停委員を介する「調停離婚」や、裁判所を通す「裁判離婚」の場合は、扶養義務者の収入や子供の年齢によって定められた養育費算定表をベースに養育費が決められる。「双方が離婚に合意している協議離婚の場合は、話しあいで金額や支払い方法を決めます。『早く離婚したいからお金はいらない!』という人は少なくありませんが、子供の将来にかかわることなので、きちんと話しあい、納得のいく額を確保してほしいですね」(豊田さん)。
【POINT】
未払い多発!!とりっぱぐれないために
「調停離婚」なら調停調書、「裁判離婚」なら判決書といった、法的効果のある"証拠" が残るが、夫婦の話しあいが基本の「協議離婚」の場合は要注意。「養育費の金額はもちろん、支払い方法など細かく決め、必ず公正証書や離婚合意書を作成しましょう。口約束では、履行されなくなったときに法的手段がとれません」(豊田さん)。

7.いきなり離婚ではなく、まず別居という手段もある

「夫と距離を置きたいなら、離婚ではなく、別居という手もあります。私がおすすめするのは、いつでも行き来できるくらいの近距離に、一時的に避難する"お試し別居"。離婚する・しないにかかわらず、お互い夫婦関係を見直し、今後について冷静に考えるいい機会になると思いますよ。離れることで、相手のよさに気づくケースもあるかもしれませんし、夫が心を入れ替えてくれるかもしれませんしね。遠く離れてしまったり、荷物をすべて運び出すような本格的な別居は、そのまま離婚につながる危険性が高いので慎重に。しつこいようですが、離婚は大変。避けられるなら、それに越したことはありません」(岡野さん)
【POINT】
別居中の生活費も請求できます
「別居しても、法律上は夫婦。収入のあるほうが、ないほうに、結婚生活を維持する費用(婚姻費用)を分担する義務があるのです。金額は、お互いの話しあいで決め、決まった内容は文書にして残すこと。話しあいがまとまらない、決めた額が支払われないといった場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることもできます」(豊田さん)
【お話をうかがったのは…】
離婚カウンセラー 岡野あつこさん
離婚カウンセラー養成スクール校長。『貴女が離婚を決める前にしなければならない8つのこと』(ゴマブックス)など著書多数。

ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓さん
FPラウンジ代表。著書に『離婚を考えたときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)などがあり、離婚前の生活設計相談も多い。
取材・文/村上早苗 イラスト/長谷川ひとみ
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