目からウロコの治療法が!更年期が原因の手の不調を根本から治す方法とは?【50代の不調に克つ!手指の関節が痛い編 #4】

Web eclat

お話を伺ったのは…

牛尾茂子先生

牛尾茂子先生

手外科医。形成外科医。日本手外科学会専門医。四谷メディカルキューブ 手の外科・マイクロサージャリーセンター勤務。更年期世代の女性に現れる多くの手の症状と向き合い、治療に取り組む。

取材したのは…

小田ユイコ

小田ユイコ

美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。

エクオールのサプリで50代女性の手の不調の根本原因をケア

前回、手指に負担をかけず快適に使うための方法を教えていただきました。牛尾先生が勤務する手の外科ではどんな治療を行っているのですか? 「40代以降の女性で『母指CM関節症』『ヘバーデン結節』『ブシャール結節』『ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)』『ばね指(弾発指)』の症状が出ていらっしゃるかたには、サプリメントでエクオールを摂取することをおすすめしています」(牛尾先生)。

エクオールとは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンをサポートする成分ですね。「はい。40歳くらいから徐々に減少し、更年期になると分泌がかなり減ってしまうエストロゲン。第1回目にもお話しましたように、大人の女性を襲う多くの手の症状が、エストロゲンの分泌が少なくなることで起こります。ですので、エストロゲンをサポートすることで、手の症状が改善することが多いのです」。
どうしてエクオールを飲むと女性ホルモンをサポートできるのですか?「大豆イソフラボンを発酵させることでできるエクオールは、女性ホルモンのエストロゲンと化学式が似ており、エストロゲン様の働きをします」(牛尾先生)。

「エクオールはエストロゲンの鍵穴にはまってはじめて、エストロゲン様の働きをします。私たちの体には、その鍵穴である受容体が2種類ありますが、エクオールがはまるのはエストロゲン受容体βです」。

「関節には滑膜(かつまく)という関節の動きをなめらかにする膜があり、女性ホルモンのエストロゲンを受け止める鍵穴があること、エストロゲンによってその働きがよくなることを第1回目にお話しました。その滑膜の鍵穴はエストロゲン受容体βで、エクオールを受け止めることができるのです」。

なるほど~! それで滑膜の潤滑油のような働きが復活し、手指の関節がなめらかに動くようになるのですね!
大豆製品を食べることやサプリメントで摂取できる「エクオール」が、更年期世代の手指の不調を改善するカギ。
大豆製品を食べることやサプリメントで摂取できる「エクオール」が、更年期世代の手指の不調を改善するカギ。
では、イソフラボンを含む豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品を普段の食事で積極的に摂ることもよいのでしょうか? 「大豆製品を食べると、大豆に含まれるイソフラボンが腸内細菌の働きでエクオールに変わります。ただし、このエクオール産生菌を腸内に持っている人は、日本人の場合、二人にひとり。50%の日本人女性は自分でエクオールをつくれない、つまり大豆製品からエストロゲン様の恩恵を得られないのです」(牛尾先生)。

「腸内にエクオール産生菌を持っているかどうかは、エクオール検査キット『ソイチェック』でわかります。自宅で尿を取って郵送するだけで手軽に調べることができます」。

私、『ソイチェック』で調べたことがあるのですが、エクオールを自分で作れない人でした。「エクオールを体内で作れないと、さまざまな更年期症状が出やすくなる傾向にあります。手指の症状もそのひとつ。エクオールのサプリメントは、この10年でエビデンスも取れ、飲み続けても弊害のないサプリメントであることがわかってきました。今更年期を迎えた人は、エクオールという助け舟があって、本当に幸運です。飲まない理由はありません」。

「エクオールを作れる人であっても、必ずしも大豆製品が得意な人ばかりではありませんし、その日の体調や腸内環境が乱れているとしっかりエクオールに変えられないことも。エクオールのサプリメントはおすすめです」。

 

豆腐、豆乳、納豆などを食べても、日本人のふたりにひとりは体内でエクオールを作り出せない。
豆腐、豆乳、納豆などを食べても、日本人のふたりにひとりは体内でエクオールを作り出せない。
「エクオールのサプリメントは、40代になったら早めに飲むことをおすすめします。実は私も46歳で、すでに飲み始めているんですよ。手指の症状をケアするだけでなく美肌効果や整腸作用もありますし、骨粗しょう症の予防にも。抜け毛や細り毛、太りやすさ、気持ちの不安定など、更年期に起こりやすい不調を予防、軽減できます」(牛尾先生)。

「初期のうちや軽い手指の不調はエクオールでケアできるのですが、放置して症状が慢性化、悪化してしまうと、軽減しにくくなります。特に関節が曲がるなど変形してしまうと、もうエクオールでは対処できません。早めに始める、そして継続することが肝心です」。

エクオールのサプリメントはどのように選べばよいですか?「日本のメーカーから発売されているエクオール製品はいくつかあり、どれでなければならないということはありません。ただ、サプリメントの製法により少しずつ違いがあるようで、より手指が楽になるものには個人差があるようです。しばらくひとつのメーカーのものを続けて、あまり手指の症状がよくならないようなら、ほかのメーカーのものを試してみるのもおすすめです」。
  • 正常な第一関節。
    正常な第一関節。
  • 人さし指の第一関節にずれが生じることで曲がる。
    人さし指の第一関節にずれが生じることで曲がる。
  • 『へバーデン結節』の炎症が進み、第一関節が曲がったケース。
    『へバーデン結節』の炎症が進み、第一関節が曲がったケース。

手指の症状が改善しない場合は手外科の専門病院へ

手指の痛みや腫れの症状が重かったり、関節が曲がってしまった場合はどうすればいいのでしょう。「私たち手外科で主に行っているのは、消炎鎮痛の飲み薬や注射で様子をみる治療と、手術による治療です。手術では手指を小さく切開し、腱や腱鞘の患部にアプローチしたり、変形した関節を整えます」(牛尾先生)。

手外科という手の専門の科があることを、今回の取材で初めて知りました。「全国に手外科があります。日本手外科学会のホームページを見ていただくと、お近くの手外科専門医や手外科専門施設がわかりますので、お悩みのかたはぜひご参照ください」。

ペットボトルの蓋が開けづらい、といった不調でも相談していいのですね?「もちろんです! 年齢を重ねるにつれ増えてくる手指の悩み。手指のかかりつけ医を持っておくことをおすすめします」。

ペットボトルの蓋が開けづらい、という悩みがきかっけで、今回わかった手指の疾患。人生100年時代、仕事や趣味を充実させるためにも、日常動作を快適にするためにも、ネイルやリングなど手のおしゃれを楽しむためにも、改めて手指を大事にしたいと思った小田。最近サボり気味だったエクオールのサプリメントを、また飲み始めようと思いました。

来月以降も、毎月ひとつのテーマについて4回にわたって記事にします。アラフィーの女性が気になる体のことを深掘りしますので、どうぞお楽しみに。配信は月曜日です!

更年期のせい?50代女性の「ペットボトルが開けにくい」原因を手の専門家が解説
以前よりパソコンのタイプミスが多くなってない?50代に多い手指の疾患を知ろう
50代女性必見!手指の不調を改善する方法を専門家が伝授
関連記事
  • 休日、スパークリングワイン片手にソファでゴロゴロしながら、スマホで連続ドラマをズーッと見続けるのが、小田にとっての至福のとき(笑)。そんなとき近視の小田は、たいてい遠近両用メガネははずし、裸眼でスマホを近づけて見ています。これが今、巷で問題になっている「スマホ斜視」の引き金に。ものが「2重に見える」ようになった人、もしかしたら「スマホ斜視」かもしれません。▶︎前回までの記事はこちら梶田雅義先生梶田雅義先生梶田眼科 院長。眼科専門医。医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。同眼科教室入局。1993年から2年間、カリフォルニア大学バークレー校の研究員に。2003年、梶田眼科開院。日本眼光学学会理事、日本コンタクトレンズ学会理事、日本眼鏡学会評議員。著書に『人生が変わるメガネ選び』(幻冬舎)が。小田ユイコ小田ユイコ美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。「小田さんはスマホを長時間見るとき、かなり目を近づけて見ていませんか? 夕方老眼とは関係ありませんが、子供や若者だけでなく、50代にもスマホを近づけて見る人が多いので、ぜひお話しておきたくて。スマホを至近距離で長時間見るのはとても危険です」(梶田先生)。ドキリ。ドラマなどを一気見するとき、確かに至近距離に。ディティールや字幕を追ううちに、遠近両用のメガネやコンタクトを外してしまい、距離にして15cmくらいで見ています。私の休日のダラダラとしたライフスタイルを見透かされたよう(笑)。 なぜ至近距離でスマホを見るのが危険なのですか?「それは『スマホ斜視』に陥る可能性があるからです」。スマホ斜視? 初めて聞きました。 老眼になった大人に「スマホ斜視」が増えている!「『スマホ斜視』は今、社会的に問題にもなっているんですよ。スマホ斜視には、内斜視と外斜視があります。眼球の向きは、外眼筋という眼球の上下左右にくっついている筋肉でこのトロールしています。スマホ内斜視とは、スマホをかなり近づけて見ることで寄り目になり、そのまま外眼筋が凝り固まった状態。少し離れたものを見たとき、黒目の位置が正面へと戻るはずなのに眼球が動かず、二重に見えてしまいます。動画やゲームなどに集中するあまりこのような事態に」(梶田先生)。 「一方、スマホ外斜視は、スマホを片目で見ることで起こります。本来、ものを見るときは両目で焦点を合わせますが、至近距離でスマホを見ているうちに片目で見るようになったケースです。見ていないほうの目は、外側のあらぬ方向に泳いだ状態。この見方を長時間続けると外眼筋が凝り固まり、少し離れたものを見たときも黒目の位置が正面に戻らず、外側へと泳いだままに。スマホを見ていたほうの片目だけで見るようになります」 眼球の上下左右にくっつき、眼球の向きをコントロールする外眼筋。スマホを至近距離で長時間見続けることで、外眼筋が凝り固まりスマホ斜視に。スマホを至近距離で見ると、寄り目に。眼球の向きをコントロールする筋肉がこのまま凝り固まると、正面を見てももとに戻らなくなり、スマホ内斜視に。スマホを近づけて見るあまりに「片目だけで見る」ようになり、もう一方の目は外側へ泳いだ状態に。この状態が続くと、離れたものを見ても泳いだ眼球を正面に向けることができず、片目だけで見てしまう。これがスマホ外斜視。「このスマホ斜視、子供や若者に増えて社会問題になっているのですが、実は案外多いのが老眼になった大人。老眼になって遠近両用の眼鏡やコンタクトを使うようになった人が、スマホを長時間見るうちに眼鏡やコンタクトを外し、裸眼で見ることで起こります。遠近両用の眼鏡やコンタクトは、手もとでも20~40cmの距離でピントが合うようになっています。ドラマなどに熱中してスマホを近づけると見づらくなりますから、眼鏡やコンタクトを外してしまいます。特に、もともと近視の人は、近くのものは見えるのではずしてしまいがち。すると、スマホ内斜視やスマホ外斜視に陥りやすくなるのです」(梶田先生)。 確かに私はもともと近視。裸眼なら眼を近寄せさえすれば見えることが、ちょっと自慢だったのですが……。「それこそが命取り。少しの時間ならかまわないのですが、長時間続けるのを習慣化してしまうと、スマホ斜視になる可能性が高まります」。 「また、眼鏡やコンタクトレンズが苦手で、老眼になっても装着を避けている人も要注意です。そのような人は老眼が進行しやすく、スマホ斜視にもなりやすいからです。こちらはもともと遠くがよく見え、視力に自信がある人に多いケースです」。50歳になったら、快適な視力を得るためには、いずれにしても矯正が必須ということ?「今はなんとかしのげていても、70歳、80歳になったら必ず視力の矯正は必要になります。そのときになって初めて眼鏡やコンタクトレンズを使おうとしても、なかなか難しい。70歳になって初めて自転車に乗るのが難しいのと同じです」。 スマホを見るとき、遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズを外すべからず「スマホ内斜視の場合、ものが二重に見えるという自覚症状があるので、比較的発見が早く改善する人が多いです。事実、このコロナ禍で、『スマホをずっと見ていたらものが二重に見えるようになりました』と訴える患者さんが増えました」(梶田先生)。 「一方スマホ外斜視の場合、二重に見えるという自覚症状がないので発見が遅れ、改善が難しくなるケースが多く、注意が必要です。本人も片目だけで見ている自覚はありません。『人から片目が泳いでいる』と指摘されて、はじめて気づくことが多いのです。実際には両目で見ていないことで、生活に支障をきたしているはずなのですが……。50代くらいのかたが駅の階段で転落すると、足腰の衰えを指摘されますよね。でも、実際はスマホ斜視で遠近感がなくなり、階段を踏み外しているケースも多いと思います」。 怖いですね。大人がスマホ斜視を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。「スマホを長時間見るときは、手もとが見やすい遠近両用の眼鏡またはコンタクトを『装着して』、20cm以上離して見ること。これがもっとも大事です」 「もともと近視の人は、眼鏡やコンタクトを外すと、どんどんスマホを近づけてしまうからです。かつて、スマホがない頃には、近視の人に眼鏡を外して本を読んでいいと指導していました。でもスマホは本よりずっとサイズが小さく、状況が違います。今では近視の子どもたちにも、勉強やゲームをするとき、眼鏡をかけるように指導しています」外眼筋の凝りをほぐし、常に「両目で見る」「また、スマホを長時間見続けたあとは、眼球を動かして凝り固まった外眼筋をほぐしましょう。腕を伸ばして人さし指を立てて動かし、その指先を両目で追います。最初、急性内斜視で二重に見えていても、次第にピントが合ってきます。時間がたっても二重に見えたままの場合は、眼科を受診しましょう」(梶田先生)。 斜視になってしまった場合、どのような治療をするのですか?「斜視の状態でも両目でピントが合うよう、プリズムレンズの眼鏡を処方します。光の方向を調整することで、目が内側や外側を向いていてもひとつの像を結ぶようにするのです。また眼球をコントロールしている外眼筋を強めたり弱めたりして、正面を向かせる手術法もあります」。スマホを見続けたあとは、眼球を動かし外眼筋をストレッチ。腕を伸ばして人さし指を立て、指先を両目で見る。人差し指の位置を左右に動かし、指先を両目で追って。今回は、大人にも増えた「スマホ斜視」についてお送りしました。「夕方老眼」からは話がそれましたが、梶田先生にお話しいただいて本当によかった! 知らなければ、私も「スマホ斜視」に陥る可能性大でした。 「夕方老眼」と「スマホ斜視」は、眼で起こっている症状こそ違えども、原因はスマホを中心としたIT頼りの生活スタイルにありました。これからwithコロナがどれだけ続くかは不透明ですが、眼への負担が減らないことは間違いありません。 梶田先生に教えていただいた「瞳ストレッチ」(#1)、遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズとの付き合い方(#2)、外眼筋をほぐして両目で見る(今回)を実践し、快適な視界をキープしたいです!▶︎梶田眼科のホームページはこちら ▶︎老眼初期の原因と対策編 記事一覧へ
  • 50歳を超えたころからちょっとした段差や石ころにつまづいたり、転んだり…。なぜ50歳になると足にまつわる悩みが増えるのか、50代女性がつまづきやすい原因や対策を足の専門クリニックに伺いました。お話を伺ったのは…久道勝也先生久道勝也先生下北沢病院 理事長・医師。獨協医科大学を卒業後、順天堂大学皮膚科に入局。ジョンズ・ホプキンス大学客員助教授などを務めたのち、2016年にアジアで唯一の足の総合病院として、下北沢病院を設立。日本足病フットケア学会評議員。著書に『新しい「足」のトリセツ』(日経BP)がある。取材したのは… 小田ユイコ小田ユイコ美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』『BAILA』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。 【目次】 50代女性がものにつまづく原因 ①アキレス腱が硬い ②ヒールの高い靴を履き続ける 予防・改善方法 ③つまづきを改善!アキレス腱伸ばしストレッチ ④自分の足を知る!足のみえるか検診「足ドック」 ①50代女性がつまづきやすい原因はアキレス腱の硬さにあった今シーズン購入したフワもこのサンダル。ちょっとした段差にも「おっとっと」とつまづいてしまう。アラフィー世代はおしゃれな靴への苦手意識がどんどん大きくなりがち。うっかりものにつまづきやすくなり、ひどいときには転んでしまうこともあるアラフィーの女性たち。もしかして歩く能力が落ちている? その原因として真っ先に思い浮かぶのは、足腰の筋力の低下。在宅ワークも増えましたし、「歩くスピードが以前より遅くなった」「厚底の靴が重く感じられ履くのが辛くなった」といった自覚があるかた、きっといらっしゃいますよね。 一方で、「ちゃんと運動をしているのに!」という人も少なくないはず。実は小田も定期的にジョギングしたり、最近ではテニスに打ち込んだりと、足腰の筋力はそこそこあるつもり。それなのに、どうしてちょっとの段差にもつまづいてしまうのでしょう? 「人が二足歩行するうえで大切なのは、脚の筋力とともにアキレス腱の柔軟性です。ちゃんと運動しているはずなのにつまづくことが増えたというかたは、アキレス腱が硬くなっていて、足首の関節の可動域が狭まっていることをまず疑うべきです」(久道先生)。そういえば小田は若いときから何か運動をするたびに足首の硬さを指摘されてきました。足首自体が硬いのかなと思っていたのですが、なんと原因はアキレス腱にあったんですね!アキレス腱が柔軟だと、足底のアーチがくずれない。アキレス腱が硬いと、足底を押しつぶし、偏平足に。 それにしても、歩くときの足の動きにアキレス腱がどのように関係するのでしょうか。 「正しい歩き方の流れを説明しますと、まずかかとから着地して、次に足裏全体が接地します。そこから重心が前方に移動する過程で、すねが前に倒れます。アキレス腱が柔軟でしっかり前に倒れる人は、足底のアーチが沈み込み衝撃を吸収。さらに重心が前方に移動するにつれてアーチが回復し硬い状態になり、足指で地面をしっかりとけり出すことができます。このけり出しがしっかりできれば、次に足を前に出すときの地面と足のあいだにクリアランスが確保されるので、そうつまづくことはありません」(久道先生)  反対に、アキレス腱が縮こまっていて硬い状態では?  「アキレス腱が硬くてすねがスムーズに前に倒せないと、かかとから足裏への体重移動が急激におこなわれるため、足底のアーチの沈み込みと回復に十分な時間的な余裕がなく、足指で地面をしっかりとけり出すことができません。いわゆるベタ足、すり足の状態になり、つまづきやすくなってしまうのです」(久道先生) なるほど、結果的につま先が高く上がらない歩き方になってしまって、小さな段差にもつまづいてしまうということか。それに私の偏平足は遺伝のせいと思っていたのですが、アキレス腱の硬さが原因かもしれないのですね。足のすねを10°以上前傾できれば、アキレス腱は柔軟。アキレス腱が実際に硬さをチェックする方法「まっすぐに立ち、アキレス腱伸ばしの要領で、片足を一歩うしろに下げ、前の脚のひざをゆっくりと曲げてみてください。うしろの脚のすねを10°以上前倒できれば、アキレス腱は柔軟です」(久道先生)。アタタッ、実際やってみると思った以上に倒れない(笑)。かかとからふくらはぎにつながるアキレス腱がカチコチで、ストッパーになっている感じがします。 「足のトラブルは、50年の足の使い方の積み重ねの結果。足を専門に診察していると、50歳を境に足の機能は下り坂になっていくのは明らか。アキレス腱はもとより、足まわりの皮膚、筋肉、血管、神経、骨すべてが変化を始めます。 50歳は『足の曲がり角』と心得て、もっと足をいたわってあげてください」(久道先生)。そういえば、顔の肌や髪、ボディラインのエイジングは気にしても、足のエイジングはあまり気にしていませんでした。 「小田さんがものにつまづきやすくなったのは、将来の歩行困難への予兆。硬いアキレス腱は、ほかの足のトラブル、ひいては全身の不調も招きます。毎日元気に歩き続けることがこの先の健康長寿のカギを握っていますから、まずはアキレス腱を柔軟にする意識を持つことから始めてみましょう」(久道先生)。そういえば、アキレス腱は“致命的な弱点”の意味でも使われますもんね。それだけ重要な部分と心得ました。 ②アキレス腱の硬さはヒールの高い靴を履き続けた影響も大きい先生、私これでもストレッチや運動はしているほうだと思うんです。もしかして、アキレス腱が硬いのは遺伝? 「もちろん腱の柔軟性は、遺伝によるところもあります。しかし日々の診察で私たちが感じているのは、50歳を超えると半数以上の人はアキレス腱が硬くなっているということ。これは遺伝だけでは説明がつきません」(久道先生)。 「年齢を重ねるごとに、男女ともにアキレス腱は硬くなっていきますが、特に、50歳以降の女性にアキレス腱が硬い人が多いのは事実です。それは、ヒールの高い靴を履き続けた影響も大きいと考えています。ヒールの高い靴を履くと、つま先立ちのような状態になり、アキレス腱は縮んだ状態に。歩いてもつま先立ちの状態は変わらず、アキレス腱は縮んだままです。ヒールの靴ばかりを履き続けることで、アキレス腱は縮んだ状態があたりまえに。ヒールの靴を履いていないときですら、アキレス腱をのばさずに歩くクセがついてしまうのです」。 今でこそ、スニーカーなどペタンコ靴を履くのがあたりまえになっていますが、50歳前後の女性は、20代のころからパンプスに慣れ親しみ、おしゃれな女性ほどヒールの靴を履いてきたという事実が。かくいう小田も、40代まで7~10cmヒールの靴を履くのが日常でした。 「アキレス腱を伸縮させ、しっかり指先で蹴り出す歩き方ができるのは、4cmヒールまで。4cmを超えるとアキレス腱の伸縮がなくなるだけでなく、足の位置がつま先のほうにズレて、足指が靴先に押し付けられてしまい、足指や爪の変形にもつながります。もちろん、靴のデザインや素材などによっても差はあるのですが」(久道先生)。 小田のつまづき靴はパンプス。すぐに靴のつま先が擦れて、傷んでしまう。ヒールの高さが4cmを超える靴を履き続けていると、アキレス腱の伸縮が悪くなり足にとって負担に。「ヒールは低くても、バックストラップのないサンダルや、アウトソールの素材が硬すぎて足指でけり出せない靴は、歩行時に足が靴の中で動くためにスムースな歩行を妨げます」(久道先生)。ペタンコなサンダルはじっとしていれば楽だけれど、確かによくつまづくかも。 「デザイン性の優れた靴を履かないでくださいとは申しませんが、ぜひハレの日に。ひじ、肩の故障を避けるためにプロ野球の投手に100球制限があるように、女性の足も『消耗品』。ヒールの高い靴を履いたらしっかり休ませて、メンテナンスをする必要があるのです」(久道先生)。 ヒールの高い靴やサンダルのおしゃれをあきらめる必要はないが、シチュエーションによってスニーカーと履き分けたり、足に負担をかけたあとのメンテナンスは必須。アキレス腱が縮こまったままにならず、しっかり伸縮させる歩き方をするには、どのような靴を選べばいいのでしょうか。「まずは自分のつま先の形に合ったものを選ぶこと。つま先の形はエジプト型、ギリシャ型、スクエア型の3つに分類されますが、日本人に多いのは親指がいちばん長いエジプト型。次に多いのが人差し指がいちばん長いのがギリシャ型で、指の長さがおよそ均等なスクエア型は非常に珍しいです。また、指の長さだけでなく足の幅にも合っていることも重要です。各ブランドによって靴の木型は異なるため、さまざまなブランドの靴を試着してください。一度このブランドの靴は自分の足に合っているとわかれば、靴探しがラクになります」(久道先生)。 「さらにはかかとの骨が安定するよう、かかとがしっかりホールドされる靴を。またアウトソール(靴底)は硬くてしっかりしたものを。足指のつけ根の部分でのみ曲がる靴が理想です。靴ひもを結ぶ靴は足の甲を固定し、足の動きを機能的にするので望ましいです」。 「理想的な靴を自分で見つけるのは難しいので、シューフィッターのいる店で購入することをおすすめします」。コロナ禍でネットで靴を購入することが増え、デザインとだいたいのサイズで取り寄せ、とても歩きにくかったという失敗を最近繰り返している小田。やはり、靴はしっかり試着することが大事ですね!  ③アキレス腱の柔軟性を取り戻す簡単ストレッチ法これから先も、ものにつまづかず、いつまでも快適に歩ける足でいるためにアキレス腱を柔軟に保つ方法、教えてください! 「アキレス腱伸ばしを毎日の日課にすること。これに尽きます! いろいろな足のお手入れ法はありますが、アキレス腱伸ばしが基本中の基本です」(久道先生)。 長年のヒール生活で縮こまってクセがついてしまったアキレス腱の柔軟性を取り戻すのですね! でも私、ストレッチも運動も折に触れてやっているのですが……。「そういうかたでもアキレス腱が硬いケースは、けっこう多いのです。ストレッチをしていてもアキレス腱にきちんと響いていなかったり、運動もアキレス腱が縮こまった状態で行っていたりするからです」 どうすればアキレス腱をしっかり伸ばせますか? 「壁を使って行うと、安心して上体を前に倒せ、しっかりとアキレス腱を伸ばすことができます」 毎日実践!アキレス腱伸ばし簡単ストレッチ法 【1】壁の前に立ち、両手を肩の高さで壁に当てる 【2】アキレス腱を伸ばしたいほうの足を一歩うしろに下げる。このときつま先はまっすぐ前に向け、かかとが浮かないように 【3】壁に体重を預け、前の足の膝をゆっくりと曲げる。アキレス腱が伸びるのを感じながら、そのまま30~60秒キープ。その際、昔、学校の準備体操で行っていたような反動をつけた動きはNG。足を入れ替えて同様に。これを5セット繰り返す。小田もさっそく実践! 足の向きは開いたり内側に向けたりせず、「まっすぐ前方」に。上半身は腰が反ったり背中が丸まったりしないよう、まっすぐをキープ。「無理をせず、イタ気持ちいいくらいの伸ばし加減で。最初はあまり伸びなくても、だんだんに伸ばせるようになってきます」(久道先生)。最初はアキレス腱がピキピキ硬いのを感じていたのですが、数日繰り返すうちに、だんだん伸びがよくなり、1週間たつ頃にはかつてないほどすねが前傾するように。なんと、足裏をベタッとつけたままでしゃがむこともできるようになり(今まではかかとを上げないとしゃがめませんでした)、床をちょっと拭いたりと、日常動作がラクに。 何より、今は2週間たったのですが、歩行もかなり変わった気が。まず、つまづくことがなくなったし、足指の蹴り出しもしやすくなって、スッスッと足の運びがスムーズに。キビキビ歩けるので、ウォーキングが楽しくなったのには、われながらびっくり! 久道先生によると、続けることでこむら返りがなくなったかたも多いといいます。 ほかに、足のためにできる簡単なこと、ありますか? 「自分の素足をよく見ること。みなさん、顔の肌はよく見るのに、自分の素足はあまりご覧にならない。ぜひお風呂にはいったときやお風呂上がりに、左右の足を比較して。甲の具合、足指の形や間隔が左右対称かどうか、皮膚の色で赤くなるなど変色しているところはないか、チェックしましょう。また足の裏を見てタコやマメの位置を確認。どの靴でできたのか考えてみましょう」。毎日足をチェックすることで足への意識が自然と高まり、足に負担をかけない靴のローテーションを考えるようになりますね。 毎日、甲や指、指のあいだが左右均等かチェック。タコやマメができている位置を確認。「小田さんのように長年アキレス腱が硬かったことから、偏平足に陥ってしまった人におすすめなのは『タオルギャザー』。椅子に座った状態で、床に敷いたタオルを足指でたぐり寄せるだけなので、ぜひトライしてください。また足指でグーチョキパーをする『足指ジャンケン』もおすすめです」(久道先生) タオルギャザーは下の要領で。『足指ジャンケン』はグーは5本の指の付け根の関節からしっかり曲げるように意識。チョキは親指と人差し指を引き離すようにして広げて。パーはすべての指が離れて扇状に広がるよう意識して広げます。 タオルギャザーは椅子とタオルを用意すればOK。床にタオルを敷いて、その上に足をのせる。かかとを浮かせないようにして、足の甲が丸くなるようにしながら足指でタオルをたぐり寄せる。55年使い込んだ結果の偏平足に、すぐにアーチが戻ってくることはないかもしれませんが、アキレス腱の伸縮を使い、足指をしっかり返す歩き方とともに続けていけば、足の健康は上向いていきそう! これまで使うだけ使ってろくなお手入れもしてこなかった足に、急に愛着が湧いてきた小田。これからも長いお付き合いになるのですから、もっと大事にしてあげなければと思います。 ④自分の足を良く知るための「足ドック」とは?50歳が「足の曲がり角」であることを知ってガクゼンとしつつも、今気づけて本当に良かったと、今回の取材で感じている小田。最近始めた趣味のテニスも、細々続けているランニングも、元気な足があってはじめて楽しめること。 コロナ禍が明けて旅行に出るなど行動半径が広がれば、ますます足の健康は必須。何より人生100年と言われる時代に、まだまだ足のお世話にならなければならないのに、ここでエイジングやトラブルをだまって見ているわけにはいきません。 「気づいていただいてうれしいです。これまで、足のトラブルは軽視されてきましたが、今回のアキレス腱の硬さだけでなく巻き爪などの爪のトラブル、タコ、ウオノメ、足のむくみ、痛みなど、足のトラブルは実にさまざま。また、『足の心筋梗塞』と呼ばれる血行障害は、進行が早く、最悪の場合切断に至ることもあり、足の色調不良、冷えには早めの対処が必要なのです」(久道先生)どこに相談したらよいのかわからない足のトラブル。足の専門病院で診察を受けるという選択肢も。足の総合病院、下北沢病院では『足ドック』を実施していると聞きました。「はい、『足のみえるか検診』と呼んでいます。この検診でわかるのは、水虫や乾燥などの皮膚や爪のトラブル、動脈硬化や静脈の異常、足底圧の測定や靴のサイズ・歩き方の指導、足の変形はアーチの状態の確認、可動域や筋力、骨密度です」(久道先生) 『足のみえるか検診』、ほかでは行っていないのでとても興味深いです。どんな人におすすめですか?「いつまでも元気に歩きたいかた、『エクラ』の読者のように足元のおしゃれを楽しみたいかた、立ち仕事や運動量の多いかた、むくみやしびれなど何らかのトラブルがあるかた、糖尿病のかたにおすすめです」 「足のみえるか検診」の検診・検査項目は血流検査、骨格検査、身体機能検査、歩行検査、フットケア。レギュラープラン ¥88,000(第1・第3土曜日に実施)、プレミアムプラン¥148,000(第3木曜日に実施)「足のみえるか検診」で行われる、足の運動機能測定。理学療法士が正しい歩き方の指導も行う。「プレミアムプランでは、靴を履いた状態でのレントゲン検査も行っています。ふだんよく履く靴や、お気に入りだけれど痛い靴などをお持ちいただいて検査します。着用したとき、足元の骨格がいったいどのようになっているのかが一目瞭然です。必要に応じて提携している義肢装具士からの靴のアドバイスを受けたり、適した靴やインソールをオーダーメイドすることも可能です」(久道先生) 1年に一度、健康診断や人間ドックを受けるように、足の健康状態もチェックしたいもの。近々受けに行こうと心に決めた小田でした! ▶︎下北沢病院のホームページはこちらから
  • 前回の取材でわかった「夕方老眼」の真実。夕方老眼とは、夕方遠くがみえづらくなること。老眼の初期症状とのことでした。では、私、美容ジャーナリスト・小田ユイコのように50代になって夕方、近くのものが見えづらくなったのはどうして? 同じお悩みの方、必読です。▶︎前回の記事はこちら梶田雅義先生梶田雅義先生梶田眼科 院長。眼科専門医。医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。同眼科教室入局。1993年から2年間、カリフォルニア大学バークレー校の研究員に。2003年、梶田眼科開院。日本眼光学学会理事、日本コンタクトレンズ学会理事、日本眼鏡学会評議員。著書に『人生が変わるメガネ選び』(幻冬舎)が。小田ユイコ小田ユイコ美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。眼鏡、コンタクトレンズの間違った視力矯正で、夕方近くが見づらくなる自宅で原稿を書くときは遠近両用の眼鏡、外出するときは遠近両用のコンタクトレンズを装着する小田。日中は特に問題なくPCやスマホの画面、雑誌の文字などが読めるのですが、夕方になるとぼやけたようにピントが合わなくなります。「それは、眼精疲労が原因。眼鏡やコンタクトレンズが、デスクワークに合っていないのかもしれません。PCやスマホを見る20~40cmくらいの距離が楽に見られるように矯正されていないと、毛様体筋は常にギューッと緊張し、水晶体をふくらませ続けなければなりません。これが何時間も続いたら、眼精疲労を起こしても当然です」(梶田先生)。 そうか、老眼用の眼鏡やコンタクトレンズは、毛様体筋が頑張らなくてもクリアに見えるようにするためのものなのですね!  「その通り。それなのに多くの人は、遠くが見える目が『良い目』だと思い込んでいて、遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズをつくる際、遠くがしっかり見えつつ、手もとも見えるものを、とオーダーしがち。もちろんそれは可能なのですが、そういった眼鏡やコンタクトレンズでは、人とのコミュニケーションや家事に必要な中近距離(約1m)や近距離(20~40cm)を見る範囲が狭まってしまいます。現代生活、とくに自宅で過ごす時間が増えたコロナ禍では、中近距離、近距離を見るための遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズにすべきなのです」。 文字をルーペで見るなんて、おばあさんみたい! と昔は思っていたけれど……。50代になって、夕方以降ののものの見えづらさは、あまりにつらい。50歳になったら、メガネやコンタクトレンズは2~3種類使いこなして「また、中近距離や近距離をみるための眼鏡やコンタクトレンズをつくっても、老眼が進めばまた見づらい状況に陥り、眼精疲労を起こします。老眼が進行するのは40歳前後から50代。ほとんどの方が60歳で進行が止まります。それまでのあいだ、老眼の進行に合わせ、3回ほど眼鏡やコンタクトレンズの度数を変える必要があります」(梶田先生) そうか、老眼が進行して、度数が合わなくなったから夕方近くの文字がかすむようになったのですね。でも、老眼が永遠に進行するのでなく、60歳で落ち着くと知って、少しホッとしました。中近距離、近距離でしっかり度数を合わせることが大事なのはわかりましたが、そうすると旅行や観劇、スポーツ、クルマを運転をするときはどうすれば? 「目的に合わせ、遠中距離がよく見えることをメインにした遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズを別に用意する必要があります。50歳になったら、行動や目的に合わせ、2~3種類使い分けるのがおすすめ。そうすることで、眼精疲労を起こすことなく、快適にものが見え、生活の質がグンと上がるのです」。 使い分けが少々めんどうだし、それなりに費用もかかりますが、快適な見え方には代えられないですね。 「遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズを使い分けるのは、乗り物を使いこなすのと一緒。近所なら自転車、少し遠くならクルマ、遠方なら新幹線と乗り分けるように賢く、上手に使いこなしてください」。 40~60歳のあいだ、老眼は進行。度数を変えれば、スマホやPCが見やすくなり、夕方急に見づらくなるのを防げる。夕方以降、リラックスモードになれない人も目がかすむ「また、夕方になっても小田さんのようにバリバリ仕事を続けていたり、レストランで会食など、自律神経がアクティブモードの交感神経優位になっていると、手もとは見えづらくなりがち。近くにピントを合わせるのはリラックスモードの副交感神経によって支配されているからです」(梶田先生)。 「そんなときは、今お使いの眼鏡やコンタクトレンズの上からルーペ眼鏡をかけるのもおすすめ。私も趣味の革小物作りの際はルーペ眼鏡を愛用しているんですよ。針に糸を通すなど、細かい作業も楽。無理をせず、どんどん道具に頼りましょう」。 人前で、老眼矯正のために眼鏡をかけるのを意固地に避けてきた小田(笑)。もはや、そんなことを言っている場合ではないですね。まずはおしゃれなルーペ眼鏡を購入することを決意しました。 次回#3では、今にわかに増えているという「スマホ斜視」についてお送りします。特に夕方に起こりがちというわけではないのですが、スマホを見続けたあと、ものが2重に見えるなどの不具合が。実は、もともと近視で裸眼だと近くがよく見える人が陥りがちなのだそう。自分では気づかぬうちにスマホ斜視になっている人も多いらしいのです。かくいう小田も、家では裸眼でスマホを長時間見ているのでドキリ。ぜひ次回もご覧ください。▶︎老眼初期の原因と対策編 記事一覧へ
  • 40代から始まった老眼モンダイ!私、美容ジャーナリスト・小田ユイコの場合、40代の半ばから、遠近両用コンタクトでなんとかしのいできました。しかし50歳を超えてから、夕方以降の目のかすみがひどくなり、遠くも手もとも見えづらくて仕事にもプライベートにも差し障る日々……。夕方以降も快適にものを見るにはどうしたらいいのか、眼科専門医に取材しました! 全3回に分けてお届けします。梶田雅義先生梶田雅義先生梶田眼科 院長。眼科専門医。医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。同眼科教室入局。1993年から2年間、カリフォルニア大学バークレー校の研究員に。2003年、梶田眼科開院。日本眼光学学会理事、日本コンタクトレンズ学会理事、日本眼鏡学会評議員。著書に『人生が変わるメガネ選び』(幻冬舎)が。小田ユイコ小田ユイコ美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。遠近両用コンタクトや遠近両用メガネで日中は見えていたスマホの文字が、夕方以降見えづらくなり、目を細めたり、かなり拡大しないと正確に読み取れなくなりました。50歳を過ぎたころから急に気になりだした夕方以降の目の見えづらさ。趣味のテニスも、ナイター照明ではボールが見えづらく、夕方以降のプレーは避けています。一番困るのは、文字をしっかりチェックしなければならない校正作業で目がかすむこと。ほかにも、ランチタイムは大丈夫なのに、夜のレストランでメニューが読めない! これっていわゆる「夕方老眼」なのでしょうか。眼科専門医の梶田雅義先生にお話をうかがいました。40代から始まる「夕方老眼」は、老眼の初期症状。夕方「遠く」が見えづらくなる夕方老眼という言葉を聞きかじり、私もこれに当てはまるのかなと思ったのですが……。「夕方老眼は、老眼の初期症状。小田さんのように、すでに老眼で夕方以降近くのものがより見えづらくなるのとは、少し違います。私は夕方老眼を『アフター5ブラー』と呼んでいます。ブラー(blur)とはぼんやりすること。仕事が終わって帰ろうとする頃、遠くが不鮮明になり、見づらくなることをさします」(梶田先生)。 遠くが見づらくなることと、近くが見づらくなるのとでは、違いがあるのですね。「はい、まずは遠くが見えづらくなる夕方老眼のほうからご説明しましょう。夕方遠くが見づらくなるのは、日中手もとばかりを見て過ごし、帰宅で建物から出たときいきなり遠くを見るからです。問題は、目のピントを調節する水晶体にあります。水晶体は、カメラでいえばレンズの役割。眼球の前面(角膜のすぐ後ろ)に存在し、ラグビーボールを立てたような形をしています。この水晶体の上下には毛様体筋という筋肉がついていて、ギュッと押してふくらませたり、引っ張って薄くしたりして、ピント調節をしています。デスクワークなどで近くを見ているときは水晶体がふくらみ、遠くを見るときは薄くなりピントが合います。しかし、日中ずっと厚みのある状態が続いていた水晶体は、夕方急には薄くなれず、遠くを見るとピントがぼやけてしまうのです」。家やオフィスで近くのものばかりを見ていて、夕方クルマを運転しようとすると、標識がよく見えず、怖い思いをすることも。これは夕方老眼。そういえば、夕方遠くの標識や看板が見えづらくなったのは、夕方近くが見えづらくなるよりもっと早く、40代半ばからだったと思い出しました!  「遠くを見ようと水晶体を薄くしようとしても時間がかかるのは、年齢とともに水晶体が硬くなるため。若いときは水晶体がプリンプリンで毛様体筋の動きにすぐに反応できたのですが、にぶくなってしまうのです。この水晶体の柔軟性が下がることこそ、老眼の始まりです」(梶田先生)。 「PCで作業をしたり、スマホで連続ドラマに熱中したりして、至近距離を1~2時間見続けてしまうこと、現代生活ではよくありますよね。特にコロナ禍で外出や通勤が減ったことで、至近距離を見続ける時間は大幅に長くなっています。至近距離を見続けると、水晶体は膨らんだ状態で硬直してしまいます。ただでさえ年齢で硬くなってきているわけですから、遠くを見たときになかなか薄くなれず、ピントが合いません。40代の老眼初期の頃にこの事実を知っていて、きちんとケアすれば、老眼への移行をゆるやかにすることができます」。 これは、40代の人に教えてあげなければ! どうすれば、夕方老眼をケアし、本格的な老眼への進行を遅らせることができるのですか?デスクワークやスマホ作業中、10分に1回は「瞳ストレッチ」の習慣を!「ぜひ実践していただきたいのが、水晶体を柔軟に保つ『瞳ストレッチ』です。方法はいたって簡単! デスクワーク中や、スマホでドラマなどを見ているとき、手芸などの手もと作業中に10分に1度、1~2秒、遠くを見るだけです。遠くといっても2~3m先でけっこう。こまめに遠くを見ることで、水晶体をストレッチし、硬直を防げるのです」(梶田先生)。至近距離ばかりをずっと見ていることが、夕方老眼の原因! 10分に1回、1~2秒、2~3m先にあるもの(たとえば観葉植物など)見るのは、やってみると案外簡単。これはぜひ習慣にしたいです。「オフィスなどで2~3m先を見ると人と目が合ってしまう場合は、天井を見上げ、素材などにピントを合わせるのもおすすめ。天井を見上げると首の前が伸び、喉もとにある頚部交感神経節を刺激します。自律神経のうち、遠くを見るとき働くのは、アクティブなときに優位になる交感神経。遠くにピントが合いやすくなります。至近距離を見るときに働いているのはリラックスするときに優位になる副交感神経。作業中ときどき交感神経を刺激すれば、自律神経のバランスを保ち、仕事や作業がはかどりやすくなります」(梶田先生) 天井の素材なんて、しっかり見たことありませんでした。でも確かに10分に一度、天井を少し見上げるだけで、ぼんやりしたアタマまでスッキリ。仕事への集中力も増します! 夕方老眼が防げて、作業がはかどるなんて、一石二鳥ですね。手もと作業中、10分に1回、遠くを見る対象として天井もうってつけ。交感神経のスイッチが入り、気分転換にもなります。「水晶体は、膨らんだり、薄くなったりを繰り返していれば、硬直しづらくなります。それは体と一緒。ジーッと棒立ちするのはつらいけれど、ちょっと足を動かすなどしていればずっと立っていられますよね。目の水晶体も動かしながら使えば、楽でいられるのです」(梶田先生)。 40代の老眼初期の方はもとより、老眼がある程度進行した50代にも役に立つ「瞳ストレッチ」。人生100年時代を楽しむために、要ともいえる視力。水晶体やそれを動かす毛様体筋とは長いお付き合いになります。カラダを心地よく動かすために運動をするように、目も快適に使うにはストレッチが必要なんだと気づいた小田でした。 次回#2では、私のように老眼がある程度進んだ人で、夕方「手もとが見えづらく」なるのがどうしてなのか、その対処法をご紹介します。▶︎老眼初期の原因と対策編 記事一覧へ
  • #1~3で、これまでアキレス腱を硬いまま放置してきたことを猛省した小田。アキレス腱伸ばしを続け、お風呂上がりには足をじっくり見ながらその日1日の行動を振り返り、頑張っている足に感謝するまでに(笑)。聞けば、このシリーズでお世話になっている久道先生のクリニックでは、足ドックが人気だとか。気になります!▶︎前回までの記事はこちらお話を伺ったのは…久道勝也先生久道勝也先生下北沢病院 理事長・医師。獨協医科大学を卒業後、順天堂大学皮膚科に入局。ジョンズ・ホプキンス大学客員助教授などを務めたのち、2016年にアジアで唯一の足の総合病院として、下北沢病院を設立。日本足病フットケア学会評議員。著書に『新しい「足」のトリセツ』(日経BP)がある。取材したのは…小田ユイコ小田ユイコ美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』『BAILA』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。自分の足を良く知るための「足ドック」って?50歳が「足の曲がり角」であることを知ってガクゼンとしつつも、今気づけて本当に良かったと、今回の取材で感じている小田。最近始めた趣味のテニスも、細々続けているランニングも、元気な足があってはじめて楽しめること。 コロナ禍が明けて旅行に出るなど行動半径が広がれば、ますます足の健康は必須。何より人生100年と言われる時代に、まだまだ足のお世話にならなければならないのに、ここでエイジングやトラブルをだまって見ているわけにはいきません。 「気づいていただいてうれしいです。これまで、足のトラブルは軽視されてきましたが、今回のアキレス腱の硬さだけでなく巻き爪などの爪のトラブル、タコ、ウオノメ、足のむくみ、痛みなど、足のトラブルは実にさまざま。また、『足の心筋梗塞』と呼ばれる血行障害は、進行が早く、最悪の場合切断に至ることもあり、足の色調不良、冷えには早めの対処が必要なのです」(久道先生) どこに相談したらよいのかわからない足のトラブル。足の専門病院で診察を受けるという選択肢も。足の総合病院、下北沢病院では『足ドック』を実施していると聞きました。「はい、『足のみえるか検診』と呼んでいます。この検診でわかるのは、水虫や乾燥などの皮膚や爪のトラブル、動脈硬化や静脈の異常、足底圧の測定や靴のサイズ・歩き方の指導、足の変形はアーチの状態の確認、可動域や筋力、骨密度です」(久道先生) 『足のみえるか検診』、ほかでは行っていないのでとても興味深いです。どんな人におすすめですか?「いつまでも元気に歩きたいかた、『エクラ』の読者のように足元のおしゃれを楽しみたいかた、立ち仕事や運動量の多いかた、むくみやしびれなど何らかのトラブルがあるかた、糖尿病のかたにおすすめです」「足のみえるか検診」の検診・検査項目は血流検査、骨格検査、身体機能検査、歩行検査、フットケア。レギュラープラン ¥88,000(第1・第3土曜日に実施)、プレミアムプラン¥148,000(第3木曜日に実施)「足のみえるか検診」で行われる、足の運動機能測定。理学療法士が正しい歩き方の指導も行う。「プレミアムプランでは、靴を履いた状態でのレントゲン検査も行っています。ふだんよく履く靴や、お気に入りだけれど痛い靴などをお持ちいただいて検査します。着用したとき、足元の骨格がいったいどのようになっているのかが一目瞭然です。必要に応じて提携している義肢装具士からの靴のアドバイスを受けたり、適した靴やインソールをオーダーメイドすることも可能です」(久道先生) 1年に一度、健康診断や人間ドックを受けるように、足の健康状態もチェックしたいもの。近々受けに行こうと心に決めた小田でした!▶︎下北沢病院のホームページはこちらから ▶︎ものにつまづく編 記事一覧へ
  • #1~2で、50代女性のつまづきやすさの原因がアキレス腱にあることを学んだ小田。今やフラット靴やスニーカーが主流で、アキレス腱のこわばりを招くヒール靴を長時間履く機会も減っています。再びアキレス腱の柔軟性を取り戻し、"歩く力"を養う簡単メソッドを教えてもらいました! ▶︎前回までの記事はこちらお話を伺ったのは…久道勝也先生久道勝也先生下北沢病院 理事長・医師。獨協医科大学を卒業後、順天堂大学皮膚科に入局。ジョンズ・ホプキンス大学客員助教授などを務めたのち、2016年にアジアで唯一の足の総合病院として、下北沢病院を設立。日本足病フットケア学会評議員。著書に『新しい「足」のトリセツ』(日経BP)がある。取材したのは…小田ユイコ小田ユイコ美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』『BAILA』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。これからも「長く使える足」にするセルフケアとは!?これから先も、ものにつまづかず、いつまでも快適に歩ける足でいるためにアキレス腱を柔軟に保つ方法、教えてください! 「アキレス腱伸ばしを毎日の日課にすること。これに尽きます! いろいろな足のお手入れ法はありますが、アキレス腱伸ばしが基本中の基本です」(久道先生)。 長年のヒール生活で縮こまってクセがついてしまったアキレス腱の柔軟性を取り戻すのですね! でも私、ストレッチも運動も折に触れてやっているのですが……。「そういうかたでもアキレス腱が硬いケースは、けっこう多いのです。ストレッチをしていてもアキレス腱にきちんと響いていなかったり、運動もアキレス腱が縮こまった状態で行っていたりするからです」 どうすればアキレス腱をしっかり伸ばせますか? 「壁を使って行うと、安心して上体を前に倒せ、しっかりとアキレス腱を伸ばすことができます」毎日実践!アキレス腱伸ばし簡単ストレッチ法【1】壁の前に立ち、両手を肩の高さで壁に当てる 【2】アキレス腱を伸ばしたいほうの足を一歩うしろに下げる。このときつま先はまっすぐ前に向け、かかとが浮かないように 【3】壁に体重を預け、前の足の膝をゆっくりと曲げる。アキレス腱が伸びるのを感じながら、そのまま30~60秒キープ。その際、昔、学校の準備体操で行っていたような反動をつけた動きはNG。足を入れ替えて同様に。これを5セット繰り返す。小田もさっそく実践! 足の向きは開いたり内側に向けたりせず、「まっすぐ前方」に。上半身は腰が反ったり背中が丸まったりしないよう、まっすぐをキープ。「無理をせず、イタ気持ちいいくらいの伸ばし加減で。最初はあまり伸びなくても、だんだんに伸ばせるようになってきます」(久道先生)。最初はアキレス腱がピキピキ硬いのを感じていたのですが、数日繰り返すうちに、だんだん伸びがよくなり、1週間たつ頃にはかつてないほどすねが前傾するように。なんと、足裏をベタッとつけたままでしゃがむこともできるようになり(今まではかかとを上げないとしゃがめませんでした)、床をちょっと拭いたりと、日常動作がラクに。 何より、今は2週間たったのですが、歩行もかなり変わった気が。まず、つまづくことがなくなったし、足指の蹴り出しもしやすくなって、スッスッと足の運びがスムーズに。キビキビ歩けるので、ウォーキングが楽しくなったのには、われながらびっくり! 久道先生によると、続けることでこむら返りがなくなったかたも多いといいます。自分の足に関心を持ち、しっかり「見る」ことが大事ほかに、足のためにできる簡単なこと、ありますか? 「自分の素足をよく見ること。みなさん、顔の肌はよく見るのに、自分の素足はあまりご覧にならない。ぜひお風呂にはいったときやお風呂上がりに、左右の足を比較して。甲の具合、足指の形や間隔が左右対称かどうか、皮膚の色で赤くなるなど変色しているところはないか、チェックしましょう。また足の裏を見てタコやマメの位置を確認。どの靴でできたのか考えてみましょう」。毎日足をチェックすることで足への意識が自然と高まり、足に負担をかけない靴のローテーションを考えるようになりますね。毎日、甲や指、指のあいだが左右均等かチェック。タコやマメができている位置を確認。「小田さんのように長年アキレス腱が硬かったことから、偏平足に陥ってしまった人におすすめなのは『タオルギャザー』。椅子に座った状態で、床に敷いたタオルを足指でたぐり寄せるだけなので、ぜひトライしてください。また足指でグーチョキパーをする『足指ジャンケン』もおすすめです」(久道先生) タオルギャザーは下の要領で。『足指ジャンケン』はグーは5本の指の付け根の関節からしっかり曲げるように意識。チョキは親指と人差し指を引き離すようにして広げて。パーはすべての指が離れて扇状に広がるよう意識して広げます。タオルギャザーは椅子とタオルを用意すればOK。床にタオルを敷いて、その上に足をのせる。かかとを浮かせないようにして、足の甲が丸くなるようにしながら足指でタオルをたぐり寄せる。55年使い込んだ結果の偏平足に、すぐにアーチが戻ってくることはないかもしれませんが、アキレス腱の伸縮を使い、足指をしっかり返す歩き方とともに続けていけば、足の健康は上向いていきそう! これまで使うだけ使ってろくなお手入れもしてこなかった足に、急に愛着が湧いてきた小田。これからも長いお付き合いになるのですから、もっと大事にしてあげなければと思います。 次回、12月27日配信予定の#4では、もっともっと自分の足を詳しく知るための「足ドッグ」についてお知らせします。足にトラブルを抱えている人、足の痛みの理由がわからない人、必見です!▶︎ものにつまづく編 記事一覧へ
  • 50代に多い「手指に力が入らない」お悩み。関節リウマチよりも手指の疾患を疑うべき?美容ジャーナリスト・小田ユイコさんが手指の関節痛の原因と対策を手指の疾患の専門家、四谷メディカルキューブの手外科医、牛尾茂子先生に徹底取材!症状や改善策まで詳しく伺いました。 お話を伺ったのは…牛尾茂子先生牛尾茂子先生手外科医。形成外科医。日本手外科学会専門医。四谷メディカルキューブ 手の外科・マイクロサージャリーセンター勤務。更年期世代の女性に現れる多くの手の症状と向き合い、治療に取り組む。取材したのは…小田ユイコ小田ユイコ美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。【目次】 手指の関節痛の症状・原因 ①ペットボトルが開けにくい ②以前よりパソコンのタイプミスが増えた 予防・改善方法 ③便利な道具やまわりの人に頼る ④エクオールサプリメントで根本原因をケア ①【手指の関節痛の症状1】ペットボトルが開けにくい更年期が原因の手指の疾患「母指CM関節症」最近、ジャムなどの瓶の蓋はおろか、ペットボトルの蓋を開けるのにも難儀。「最近のペットボトルって、蓋が固すぎない?」と思ったこと、ありませんか?それは実は勘違い。ペットボトルの蓋が固くなったのではなく、開けるほうの私たちの指に異変が起きているのです! 「蓋、開かないな~」とボヤいていると、夫が「それって関節リウマチじゃない?」と。本当にそうなんでしょうか。ペットボトルの蓋を開けようとしても、ビクともしないってことありませんか? 何とか開けようと力入れると、親指のつけ根あたりに鈍痛が……。牛尾先生、ジャムの瓶の蓋はおろか、ペットボトルを開けるのすら辛いのですが……。「ペットボトルの蓋をひねろうとすると、親指のつけ根に痛みを感じるのですよね。小田さんの年齢から考えても、それは『母指CM関節症(ぼしシーエムかんせつしょう)』です」。んんん?『母指CM関節症』? 初耳です。 「CM関節というのは、各指のつけ根の関節。親指のCM関節に炎症が起こるのが『母指CM関節症』です」(牛尾先生)なんと、そんな症状があったとは! 関節リウマチではないのですか? 「関節リウマチは、免疫疾患です。手指の関節が痛い場合、関節リウマチの可能性もありますが、更年期世代の女性の場合、まず女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの減少による手指の疾患を考慮すべき。『母指CM関節症』も、エストロゲン減少による疾患のひとつです」。 ここが母指CM関節。今まであまり意識していなかったけれど、確かにペットボトルの蓋を開けるとき、このあたりに鈍痛が……。「関節には、滑膜(かつまく)という膜があり、その名の通り、関節の動きをスムーズにする潤滑油のような役割をしています。その滑膜には、受容体というエストロゲンを受け止める鍵穴の役割をするものがあり、鍵であるエストロゲンが受容体に結合することで、はじめてエストロゲンの作用を発揮。関節の働きがよくなります」(牛尾先生) 「ところが、更年期でエストロゲンの分泌が減ると、鍵穴に肝心の鍵がやって来ず、いわばサビついたような状態に。関節のすべりが悪くなり、炎症を起こしてしまうのです」。そんなサビついた関節に、蓋を開ける仕事をさせたら痛いのも当然ですね。それにしても、関節はたくさんあるのに、なぜ親指に症状がでるのでしょう?「実はエストロゲン不足による手指の炎症は、親指以外の指に起こるケースも多々。ただ、親指は持つ、つまむなどの動作に必ず使い、ほかの指より酷使しているので、炎症が起こりやすいのです」(牛尾先生)。これまでは、甘やかしてはいけないと思い、開かない蓋も歯を食いしばって開けてきましたが……(笑)。 「痛いときはダメです! 炎症が進むと、関節の軟骨が摩耗。さらに進むと、関節がずれる亜脱臼状態に陥り、関節部分が変形してゴツゴツとした見た目に。痛みも強くなります。親指以外に手指の炎症が起こっている人も、不調に気づいていながら原因がわからないまま無理して悪化させてしまっている人が多いのです」。 手が痛いと、瓶の蓋を開けるのも、ちょっとしたストレス……。夫が瓶の蓋をきつく締めがちで、よく「馬鹿ヂカラで締めないで!」とケンカに(笑) ②【手指の関節痛の症状2】以前よりパソコンのタイプミスが増えた第一関節の痛みは「ヘバーデン結節」、第二関節の痛みは「ブシャール結節」の可能性が以前より、パソコンのキーボードを打つのがおっくうに感じられるのは、指がよく動かなかったり、タイプミスが多くてイライラしてしまうから。それは指の関節の痛みや、曲がって変形したのが原因かも。牛尾先生、私のアラフィーの友人からは、手指に関するボヤキがたくさん聞こえてきます。たとえば、以前より指が動きづらく、パソコンのキーボードでミスタッチを繰り返してしまい、イライラするとか。「それは、指の第一関節に炎症が起こる『へバーデン結節(けっせつ)』の可能性があります。キーボードを打つには指先の第一関節の動きが重要ですが、ここに炎症があると腫れたり、痛かったり、動きが悪くなったりします」(牛尾先生)。 「指の第二関節が腫れて痛い場合は、『ブシャール結節(けっせつ)』の可能性大。こちらの場合、指をしっかり握れなくなるので、日常生活動作にさまざまな支障がでます」。 そんな疾患があったなんて! ヘバーデン結節やブシャール結節の原因はなんなのでしょうか。「小田さんの親指が痛くなった『母指CM関節症』と同じく、更年期によるエストロゲンの減少が大きな影響を及ぼしているのです。前回お話した滑膜(かつまく)は腱鞘にも存在し、エストロゲンがやってこなくなることで炎症を起こしやすくなるのです。また、手指の酷使で起こった指のつけ根の腱鞘炎を放置したことも、原因のひとつとして考えられますね」。   へバーデン結節やブシャール結節を放っておくとどうなりますか?「関節が曲がることがあります。パソコンのタイプミスが増えたのには、関節が曲がったことにより指先の方向が変わり、想定外のキーを打ってしまっている可能性もあります」。意外と重みがあり、片手で持ったまま長時間の操作することで、手指に負担をかけるスマホ。親指でスクロールを繰り返すことで「ばね指」になる人も。ガラケーからスマホに変わった当時、慣れない動作で「ばね指」患者が急増したという。ほかに手指が動かしにくくなる症状はありますか。「はい、いくつかあります。一つは『ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)』。手首の親指側に腫れと痛みが生じ、親指をのばしづらくなります。スポーツなどで親指をよく使う人に起こり、親指側の腱鞘が炎症を起こし、腱の動きがスムーズではなくなってしまうのです」。 「また、親指、中指、薬指の第2関節に多く見られる『ばね指(弾発指)』という病気もあります。手がこわばり、第2関節が曲がったまま伸びなくなる、第2関節が痛いといった症状がでます。指のつけ根の腱鞘に炎症が起こり、曲げ伸ばしが辛くなるのです」。どの指の、どの関節が痛くてもペンを持って文字を書くのが辛くなってしまう……。ペンで文字を書くのが辛い、お箸をうまく使えなくなった、あんなに好きだった手芸が苦手に、といったアラフィーのボヤキは、これらの指の病気が根底にある可能性大ですね。正直、まったくわかっていませんでしたし、アラフィーの友人たちも知らない様子。「不調が気になって整形外科などを訪れても、これらの初期症状はレントゲン写真には写りません。医師から年齢のせい、使い過ぎ、治らない、と言われるケースも少なくないようです。しかし、原因を知って正しくケアすれば、多くの人はこれらの手の症状が改善。重症化を防ぐことができるのです」。 ③【手指の関節痛の改善方法1】便利な道具やまわりの人に頼るペットボトルの蓋を開けられない、キーボードのタイプミスが増えた……などアラフィーに起こりやすい現象は、力が衰えたわけでも、不器用になったわけでもなく、手指の関節や腱鞘などの炎症からくるもの。どうすれば炎症が緩和し、手の作業が快適になるのでしょうか。ペットボトルや瓶の蓋を開けづらいのは『母指CM関節症』だったから、ということが判明したアラフィー美容ジャーナリストの小田。痛いのを無理して開けようとするのはNGとのことでしたが、どうすればよいのでしょう。「まずは道具を頼るクセをつけましょう。ペットボトルや瓶は、簡単に開けることができる道具が100円ショップなどでも販売されていますよね。これを利用しない手はありません」(牛尾先生)。 「または、ご家族などまわりにいる人をどんどん頼って。アラフィー女性は、なんでも自分で解決しようと頑張ってしまう傾向にありますが、手指の場合、それが症状悪化の引き金に。痛みが増し、今は見た目がなんともなくとも、将来、関節部分がゴツゴツと変形してしまう可能性があります」。 ペットボトルの蓋が開けられないなんて、なんだかちょっと恥ずかしいし、人を頼るほどでもないと思っていましたが、強がっていてはいけませんね。キャップオープナーがあれば、ペットボトルの蓋はいとも簡単にオープン! 『母指CM関節症』の人の必需品。正常な母指CM関節。母指CM関節がずれている。『母指CM関節症』が進んだ状態。ゴツゴツとした見た目に。パソコンのキーボードでキータッチをミスをしてしまう人はどうしたらよいですか。「まずは5本の指の第一関節や第二関節の炎症、そしてその引き金になっている指のつけ根の腱鞘炎を抑えるケアを始めましょう。キーボードの前にはアームレストが必須です。アームレストがあることで手首、手指に余計な力が入らず、炎症を軽減してくれます」(牛尾先生)。 「キーボードのキーの硬さはほどよいものを。硬すぎると指に余計な負担がかかってしまいます。硬いキーを『カタカタカタ、パコーン』と音がなるほど力強くたたいている人がいますが、あれは手指に負担。軽く触れるだけでタッチできるキーボードが理想的です」。 「これは手指に不調がある人全般に言えることですが、朝起きぬけに、手指を温めて『使う準備』をしてあげてください。スポーツをする前に準備運動しなければケガをしやすくなるように、手もいきなりハードな作業をさせれば不具合が起こっても当然です。ぬるま湯に手をつけ、マッサージしてもいいでしょう。マッサージといってもグイグイもむのではなく、手指を優しくさすってあげて。これだけで血流がよくなり、動かしやすくなります」。 「そして作業などが終了した夜、不調を感じる部分は湿布やアイスパックを当てるなどして、冷やしてあげましょう。不調を感じるときは、手指の関節や腱、腱鞘に炎症が起こっています。冷やすことで炎症による熱を取ってあげるのです。こうした毎日のこまめなケアが、これからもずっと長く、快適に手指を使っていく第一歩です」。 確かに、毎日こんなに手指を酷使しているのに、ウォーミングアップもクールダウンもしないなんて、不調が起こっても当然ですね!アームレストがあるだけで、手指から力が抜けて楽に。関節や腱鞘の炎症を予防できる。朝、作業を始める前にぬるま湯で手を温めながら、やさしくさする。スマホの操作も、手指に負担をかけるのでしたね。どうしたらいいですか?「ガラケーの時代と違い、スマホはかなり重みがあり、そもそも手首、手指に負担。メッセージを打ったり、検索でスクロールするときは、テーブルなどに置いて操作するのがおすすめです。重みの負担が減るだけで、手指がとても楽になります」。 「また、これまでメッセージ入力もスクロールも親指で行っていた人は、ほかの指もぜひ使って、親指の負担を軽減しましょう。ばね指の予防にもなります」。 日常の手の動作を意識するだけで、手指の負担が減り、アラフィー世代が患いやすい『母指CM関節症』『ヘパーデン結節』『ブシャール結節』『ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)』『ばね指(弾発指)』の症状を緩和することができるのですね。 ほかに、これらの症状を改善する方法はありますか? また、炎症が進み関節に腫れや痛みが増したり、関節が曲がってしまった場合、治療法はありますか?「はい、あります。これらの手指の症状の根本には、更年期によるエストロゲンの減少があります。エストロゲンの減少をケアする方法や症状が進んでしまったときの治療法もあります」。 ④【手指の関節痛の改善方法2】エクオールサプリメントで根本原因をケア「40代以降の女性で『母指CM関節症』『ヘバーデン結節』『ブシャール結節』『ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)』『ばね指(弾発指)』の症状が出ていらっしゃるかたには、サプリメントでエクオールを摂取することをおすすめしています」(牛尾先生)。 エクオールとは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンをサポートする成分ですね。「はい。40歳くらいから徐々に減少し、更年期になると分泌がかなり減ってしまうエストロゲン。第1回目にもお話しましたように、大人の女性を襲う多くの手の症状が、エストロゲンの分泌が少なくなることで起こります。ですので、エストロゲンをサポートすることで、手の症状が改善することが多いのです」。 どうしてエクオールを飲むと女性ホルモンをサポートできるのですか?「大豆イソフラボンを発酵させることでできるエクオールは、女性ホルモンのエストロゲンと化学式が似ており、エストロゲン様の働きをします」(牛尾先生)。 「エクオールはエストロゲンの鍵穴にはまってはじめて、エストロゲン様の働きをします。私たちの体には、その鍵穴である受容体が2種類ありますが、エクオールがはまるのはエストロゲン受容体βです」。 「関節には滑膜(かつまく)という関節の動きをなめらかにする膜があり、女性ホルモンのエストロゲンを受け止める鍵穴があること、エストロゲンによってその働きがよくなることを第1回目にお話しました。その滑膜の鍵穴はエストロゲン受容体βで、エクオールを受け止めることができるのです」。 なるほど~! それで滑膜の潤滑油のような働きが復活し、手指の関節がなめらかに動くようになるのですね!大豆製品を食べることやサプリメントで摂取できる「エクオール」が、更年期世代の手指の不調を改善するカギ。では、イソフラボンを含む豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品を普段の食事で積極的に摂ることもよいのでしょうか? 「大豆製品を食べると、大豆に含まれるイソフラボンが腸内細菌の働きでエクオールに変わります。ただし、このエクオール産生菌を腸内に持っている人は、日本人の場合、二人にひとり。50%の日本人女性は自分でエクオールをつくれない、つまり大豆製品からエストロゲン様の恩恵を得られないのです」(牛尾先生)。 「腸内にエクオール産生菌を持っているかどうかは、エクオール検査キット『ソイチェック』でわかります。自宅で尿を取って郵送するだけで手軽に調べることができます」。 私、『ソイチェック』で調べたことがあるのですが、エクオールを自分で作れない人でした。「エクオールを体内で作れないと、さまざまな更年期症状が出やすくなる傾向にあります。手指の症状もそのひとつ。エクオールのサプリメントは、この10年でエビデンスも取れ、飲み続けても弊害のないサプリメントであることがわかってきました。今更年期を迎えた人は、エクオールという助け舟があって、本当に幸運です。飲まない理由はありません」。 「エクオールを作れる人であっても、必ずしも大豆製品が得意な人ばかりではありませんし、その日の体調や腸内環境が乱れているとしっかりエクオールに変えられないことも。エクオールのサプリメントはおすすめです」。▶︎ソイチェックの詳細はこちら豆腐、豆乳、納豆などを食べても、日本人のふたりにひとりは体内でエクオールを作り出せない。「エクオールのサプリメントは、40代になったら早めに飲むことをおすすめします。実は私も46歳で、すでに飲み始めているんですよ。手指の症状をケアするだけでなく美肌効果や整腸作用もありますし、骨粗しょう症の予防にも。抜け毛や細り毛、太りやすさ、気持ちの不安定など、更年期に起こりやすい不調を予防、軽減できます」(牛尾先生)。 「初期のうちや軽い手指の不調はエクオールでケアできるのですが、放置して症状が慢性化、悪化してしまうと、軽減しにくくなります。特に関節が曲がるなど変形してしまうと、もうエクオールでは対処できません。早めに始める、そして継続することが肝心です」。 エクオールのサプリメントはどのように選べばよいですか?「日本のメーカーから発売されているエクオール製品はいくつかあり、どれでなければならないということはありません。ただ、サプリメントの製法により少しずつ違いがあるようで、より手指が楽になるものには個人差があるようです。しばらくひとつのメーカーのものを続けて、あまり手指の症状がよくならないようなら、ほかのメーカーのものを試してみるのもおすすめです」。正常な第一関節。人さし指の第一関節にずれが生じることで曲がる。『へバーデン結節』の炎症が進み、第一関節が曲がったケース。手指の痛みや腫れの症状が重かったり、関節が曲がってしまった場合はどうすればいいのでしょう。「私たち手外科で主に行っているのは、消炎鎮痛の飲み薬や注射で様子をみる治療と、手術による治療です。手術では手指を小さく切開し、腱や腱鞘の患部にアプローチしたり、変形した関節を整えます」(牛尾先生)。 手外科という手の専門の科があることを、今回の取材で初めて知りました。「全国に手外科があります。日本手外科学会のホームページを見ていただくと、お近くの手外科専門医や手外科専門施設がわかりますので、お悩みのかたはぜひご参照ください」。 ペットボトルの蓋が開けづらい、といった不調でも相談していいのですね?「もちろんです! 年齢を重ねるにつれ増えてくる手指の悩み。手指のかかりつけ医を持っておくことをおすすめします」。 ペットボトルの蓋が開けづらい、という悩みがきかっけで、今回わかった手指の疾患。人生100年時代、仕事や趣味を充実させるためにも、日常動作を快適にするためにも、ネイルやリングなど手のおしゃれを楽しむためにも、改めて手指を大事にしたいと思った小田。最近サボり気味だったエクオールのサプリメントを、また飲み始めようと思いました。▶︎牛尾茂子先生が所属する四谷メディカルキューブの「手の外科」のサイトはこちら▶︎日本手外科学会のサイトはこちら    ▲ページトップに戻る>>「50代のお悩み」記事一覧はこちらから▼その他のおすすめ記事もチェック
  • #1で50歳を超えてちょっとした段差や石ころにつまづくようになったのは、アキレス腱の硬さに原因があったことが判明。運動やストレッチはそこそこしているはずなのに、どうしてアキレス腱がカチコチに? 放っておくとどうなる? 50歳の「足の曲がり角」を長年見続けてきた医師に伺いました。▶︎前回の記事はこちらお話を伺ったのは…久道勝也先生久道勝也先生下北沢病院 理事長・医師。獨協医科大学を卒業後、順天堂大学皮膚科に入局。ジョンズ・ホプキンス大学客員助教授などを務めたのち、2016年にアジアで唯一の足の総合病院として、下北沢病院を設立。日本足病フットケア学会評議員。著書に『新しい「足」のトリセツ』(日経BP)がある。取材したのは…小田ユイコ小田ユイコ美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』『BAILA』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。50歳女性の約半数以上は、アキレス腱がカチコチ前回、アキレス腱のカチコチがものにつまづく原因であることを教えていただきました。でも先生、私これでもストレッチや運動はしているほうだと思うんです。もしかして、アキレス腱が硬いのは遺伝? 「もちろん腱の柔軟性は、遺伝によるところもあります。しかし日々の診察で私たちが感じているのは、50歳を超えると半数以上の人はアキレス腱が硬くなっているということ。これは遺伝だけでは説明がつきません」(久道先生)。 「年齢を重ねるごとに、男女ともにアキレス腱は硬くなっていきますが、特に、50歳以降の女性にアキレス腱が硬い人が多いのは事実です。それは、ヒールの高い靴を履き続けた影響も大きいと考えています。ヒールの高い靴を履くと、つま先立ちのような状態になり、アキレス腱は縮んだ状態に。歩いてもつま先立ちの状態は変わらず、アキレス腱は縮んだままです。ヒールの靴ばかりを履き続けることで、アキレス腱は縮んだ状態があたりまえに。ヒールの靴を履いていないときですら、アキレス腱をのばさずに歩くクセがついてしまうのです」。 今でこそ、スニーカーなどペタンコ靴を履くのがあたりまえになっていますが、50歳前後の女性は、20代のころからパンプスに慣れ親しみ、おしゃれな女性ほどヒールの靴を履いてきたという事実が。かくいう小田も、40代まで7~10cmヒールの靴を履くのが日常でした。 「アキレス腱を伸縮させ、しっかり指先で蹴り出す歩き方ができるのは、4cmヒールまで。4cmを超えるとアキレス腱の伸縮がなくなるだけでなく、足の位置がつま先のほうにズレて、足指が靴先に押し付けられてしまい、足指や爪の変形にもつながります。もちろん、靴のデザインや素材などによっても差はあるのですが」(久道先生)。小田のつまづき靴はパンプス。すぐに靴のつま先が擦れて、傷んでしまう。ヒールの高さが4cmを超える靴を履き続けていると、アキレス腱の伸縮が悪くなり足にとって負担に。「ヒールは低くても、バックストラップのないサンダルや、アウトソールの素材が硬すぎて足指でけり出せない靴は、歩行時に足が靴の中で動くためにスムースな歩行を妨げます」(久道先生)。ペタンコなサンダルはじっとしていれば楽だけれど、確かによくつまづくかも。 「デザイン性の優れた靴を履かないでくださいとは申しませんが、ぜひハレの日に。ひじ、肩の故障を避けるためにプロ野球の投手に100球制限があるように、女性の足も『消耗品』。ヒールの高い靴を履いたらしっかり休ませて、メンテナンスをする必要があるのです」(久道先生)。ヒールの高い靴やサンダルのおしゃれをあきらめる必要はないが、シチュエーションによってスニーカーと履き分けたり、足に負担をかけたあとのメンテナンスは必須。アキレス腱が縮こまったままにならず、しっかり伸縮させる歩き方をするには、どのような靴を選べばいいのでしょうか。「まずは自分のつま先の形に合ったものを選ぶこと。つま先の形はエジプト型、ギリシャ型、スクエア型の3つに分類されますが、日本人に多いのは親指がいちばん長いエジプト型。次に多いのが人差し指がいちばん長いのがギリシャ型で、指の長さがおよそ均等なスクエア型は非常に珍しいです。また、指の長さだけでなく足の幅にも合っていることも重要です。各ブランドによって靴の木型は異なるため、さまざまなブランドの靴を試着してください。一度このブランドの靴は自分の足に合っているとわかれば、靴探しがラクになります」(久道先生)。 「さらにはかかとの骨が安定するよう、かかとがしっかりホールドされる靴を。またアウトソール(靴底)は硬くてしっかりしたものを。足指のつけ根の部分でのみ曲がる靴が理想です。靴ひもを結ぶ靴は足の甲を固定し、足の動きを機能的にするので望ましいです」。 「理想的な靴を自分で見つけるのは難しいので、シューフィッターのいる店で購入することをおすすめします」。コロナ禍でネットで靴を購入することが増え、デザインとだいたいのサイズで取り寄せ、とても歩きにくかったという失敗を最近繰り返している小田。やはり、靴はしっかり試着することが大事ですね!次回、12月20日配信予定の#3では、つまづかない足のための要、アキレス腱の柔軟性を保つセルフケア法を久道先生に教えていただきましたのでお伝えします。実践するようになったら、歩くのがスムーズになり、ものにつまづかなくなりました。ぜひお楽しみに!▶︎ものにつまづく編 記事一覧へ
関連キーワード

RECOMMEND